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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
371/384

最後の #4



 それじゃぁ、と。悠樹は目線だけで挨拶を交わし、その場を離れる。今日この後時間があるかどうかは分からないが、一旦。


 この三日間、悠樹は特に予定はない。クラスの出し物についても、当日にやることはない。それほど大きなことをするわけでもないので、ワイワイガヤガヤとしたい者だけがやっている。


 悠樹にとってはそれが有難かった。護との時間はあまり取れそうにはないが、そもそも悠樹は賑やかなのはあまり好きではない。なので、最初からクラスで楽しむ気はなかった。悠樹にとってクラスメイトはクラスメイトでしかなく、それ以上でもそれ以下でもない。この学校だけの、限定的な関係性だ。


 「悠樹、ちゃん………………っ」


 教室に戻ろうとしたそのタイミングで、後ろから声が。


 「麻依ちゃん……?」

 「うん……。どこ、いってたの…………?」

 「護のとこ」

 「そう」


 麻依は、悠樹の友達だ。去年も今年も同じクラス。麻依はクラスメイトの中でも特別な存在だ。護と、時雨や氷雨と同じくらい、自分とよく似た、とっても大切な友達だ。麻依だけは、別だ。


 「悠樹ちゃんは……、今日から、どうするの…………?」

 「どう、とは……?」

 「文化祭、だから…………」

 「護のこと?」

 「それもあるけど。一緒に……いるのかなって」

 「いや。そんなには」

 「そう、なんだ………………」

 「向こうも、忙しいから……」

 「大変、だね…………」

 「仕方ないよ」


 護はクラス委員長で、文化祭の実行委員でもある。葵と同じだ。やりたい人がいなかったからか、葵が誘ったのか、理由としてはなんでもありえる。


 (護だから)


 「そうやって割り切れるのは……、私には…………」

 「そう…………?」

 「だって……、二人はそういう関係、でしょ……」

 「それはそう、だけど…………」

 「私なら……………………。我慢出来ないよ」

 「我慢は……してないよ。麻依ちゃん」

 「へ……………………?」

 「してないよ。私は……」


 している部分もある。そして、麻依の気持ちも分かる。でもそれは、仕方ないのだ。時間はあるわけで、悠樹と護の関係性によって、それは保証されている。時間は今だけではない。これからも、たくさん護といることが出来る。有限であっても、時間はまだまだある。


 「悠樹ちゃんがいいなら…………」

 「ん」

 「今日も一緒に、いれる……?」

 「ん。問題ない」

 「やった……。ありがと」

 「ん…………」

 「よろしくね……。悠樹ちゃん……っ」

 「こちらこそ」

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