ぶんかさいっ!! #7
生徒会室での話を終え、俺と葵は揃って教室に戻る。一緒に行ったのだから、一緒に戻ってくる。わざわざ、ズラす必要はどこにもない。
「戻ってきたわね〜、二人とも」
「やっと、ね」
出迎えてくれるのは、薫と心愛の二人。扉の開閉音で反応したのか、すぐに俺達の元にやってくる。
「はい、戻りました」
「なんか変わったことでもあったか?」
「いーや、大丈夫」
「うん、心配ないね」
「そか」
何かあったのかと思ったが、そういうわけではないようだ。単純に、待っていた、ということだろう。
教室の中を見渡してみる。当日ということもあり、皆が最終準備をしている。もう執事服やメイド服に着替えている人も。教室内で着替える場所を確保することは難しかったので、接客担当の人にはそれぞれ、別の場所で着替えてもらっている。
テーブルは普段俺達が使っている勉強机を、四つを一つとして使っている。椅子も、普段使いのもの。流石に、新しい物を買う予算はないし、使える物はしっかりと使っていかなければならない。
四人掛けのテーブルを六個。距離を詰めすぎないようにして設置する。最大24人。これくらいが対応出来る限度だろう。そして、パーテーションで区切って、調理の場所を。
「んん?」
調理場の方から、チラチラとこちらを見てくる女の子。目線を合わせてきたり、ズラしたり。ふわっ、とした見た目で、腰の辺りまで伸びているロングヘアー。
「どうしたの、護?」
「いや…………」
どうしたものか。
「後ろ………………? あ、斎藤さん?」
「斎藤……?」
聞き覚えのある名前だ。まぁ、ついさっきだが。
「ひゃう……………………!?」
バレてないと思っていたのだろう。その場で、あたふたと。
「そんなところで何してるの? こっちに来たらいいのに」
「うー……」
「で? どうしたの?」
心愛が詰め寄ってすぐに話しかける。心愛はまぁ、誰とでも仲良く話すタイプでもないので、こうやって普通に話してるあたり、最低限心を許しているのか。友達、ということなのか。
知らないことはたくさんある。これまで心愛が斉藤さんと話をしているところはあまり見たこと無かったけど、それは俺が知らないだけ。なんでも知っているわけではない。
「成宮さんが、楽しそうだったから…………」
「へ……?」