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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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ぶんかさいっ!! #6



 (どんな話をしているの、かな……?)


 青春部の中で、叶はどのような評価を得ているのだろうか。生徒会。華といえば華。他の高校がどうなっているのか蜜柑が知る術はないが、御崎高校のそれを考えれば蜜柑は、華がある、そういう結論に行き着く。


 姉の叶に対し妹である蜜柑はたまに、叶に生徒会の話題を振るが、「あたしは書記だからね〜」と、反応は決していいものではない。地味であるからか、妹に対してもそういう反応をするのだろう。叶の趣味嗜好、行動原理は、自分が把握している。


 「気になるの?」

 「い、いや……っ。そういうわけじゃないけど」

 「けど……………………?」

 「なんというか」

 「うんうん。何かあるなら言ってよ」


 (はぁ…………)


 「比べられるの、好きじゃないから……」

 「あ〜、なるほどね」


 歳の近い姉妹なので、周りからは事ある毎に比べられてきた。優れている、劣っている、そういう単純な話ではないわけだが、蜜柑はそれが嫌だ。


 自分は自分。姉は姉。


 「分かる、かな? 成宮さんは」

 「うーん、あたしは兄弟とかそういうのはないからアレだけど、分かるのは分かるよ。アタシはアタシだしー、って思うからね」

 「そう」


 叶は友好的な性格であり、積極的な関わりを持とうとする。蜜柑はそうではない。姉妹であり年齢も近いが、叶と蜜柑の違いは多い。だから、比べやすいのだろう。姉妹として、人としての違いが、はっきりと分かる。


 (嫌だ、嫌だ嫌だ、嫌嫌嫌嫌………………)


 「ま、今は忘れよ? これから楽しい時間が始まるんだから」

 「う、うん。そだね」


 心愛の言葉でふと、我に返る。感情が爆発しそうになってしまっていた。


 抑える。これは、自分の問題だ。折り合えない、自分の。他人を巻き込む必要は全くない。自分は自分。姉は姉。他人は他人。比べる必要性は全くない。比べられる道理もない。


 (ふぅ、ふぅ…………)


 深呼吸。心の中で。そして、外でも。


 「あ、ありがと。成宮さん」

 「え? 何もありがたがられるようなことはしてないけど」


 落ち着いた。そのことだけでいい。本心はともかく、分かる、という反応を示してくれることがありがたい。


 「うんうん。まぁ? もうすぐだしね。モヤモヤされたまま出し物しても良いことないからね。皆にとっても」

 「そうだね」


 もうすぐ始まる。開演まで後少しだ。


 文化祭。楽しむべきものだ。学生として、このクラスの一員として。


 そうしなければもったいない。

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