ぶんかさいっ!! #4
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薫と別れ、俺と葵は二人で生徒会室に向かう。実行委員になってから、生徒会室に行く頻度がそこそこ増えた。まぁ、青春部には佳奈がいるわけで、生徒会メンバーと全く接点がなかったわけではないので、あまり新鮮味は感じない。副会長の遥先輩とも、接点がある。
(二人だけだが)
「何か、考えてますか? 護君」
「いーや。何も」
「そうですか」
扉を開けようとした、その時。
「おーいっ! 護〜!!」
噂をすればなんとやら。後ろから遥先輩の声が聞こえてくる。振り返ると隣には佳奈がおり、もう一人、見知らぬ顔が。お下げで三つ編み。身長は杏ほどであるが、どことなくふんわりとした可愛らしい印象がある。
「どなたでしょう」
「分からんな」
葵も知らないようで。
「久しぶりだね〜。護、葵ちゃん」
「どもども」
「ご無沙汰してます」
「うんうん。相変わらず仲がいいね」
「遥、叶。私は先に行ってるぞ。二人も早めにな」
「「はーい」」
二人が同時に反応する。
「それで、それで〜?」
叶と呼ばれていた女の子が、遥先輩の横で俺達をキョロキョロと見ている。何か、言いたげな表情。こっちは知らないが、どうやら向こうは俺達のことを知っていそう。まぁ、まぁ、生徒会のメンバーっぽいし、仮にそうだとしても不思議ではない。
「君達が、護と葵だねー。どもどもー、私は、斎藤叶。よろしくー」
「やっぱり、私達のこと知っているんですね」
(俺と同じ反応だな)
「うんうん。そだねー」
「遥先輩や佳奈から、ですよね?」
「うんうん。私も生徒会の一員だからねー。色々知ってるのだよ〜。後は」
(後は……?)
「同じクラスの妹と高坂さん、からかな?」
「高坂……………………?」
「ふーん? そっちに反応するんだ」
斎藤先輩の表情が一気に変わる。
(ハメてきたか?)
いやいや。そこまでは考えてにくいか。苗字で呼んでいるし、仲はそれほどだろう。それに、悠樹の口から斎藤先輩の名前を聞いたことはない。悠樹が他人とあまり接点を持ちたがらないってのもあるし、悠樹が簡単に漏らすわけもない。
「ゆ、悠樹も青春部ですから」
「うんうん。それもそうだね〜」
普通の切り返し。色々と見透かされてるような雰囲気もあるが。こっちから話題を変えていかないと。
「それで、妹っていうのは?」
「あはは。蜜柑っていうんだけどねー。ちっちゃいフワフワした子。蜜柑は君とは話したことあまりないって言ってたけど、話は聞いてるんだよね〜」
「蜜柑、蜜柑……」
「そうそう」
斎藤先輩が言う通り接点はほとんどないけれど、羚が騒いでいたような騒いでいなかったような……。まぁ、羚は今になっても女の子相手だとそうなんだが。少しは変わった方がいいと思うが、羚はそんな感じのキャラだし。
「ま、また話してやってよね〜」
「え、えぇ……」