ぶんかさいっ!! #3
〇
(お友達、ですか……)
友達といえば、葵も含め青春部のメンバー全てが友達、ということになる。護との関係性を問われた場合、それは友達といえば友達であることに間違いはないのだが。
(それで終わるつもりは毛頭ありません)
当然だ。あの日、護に告白をした意味。護からの返答を待っている今、小さな関係で終わらせるわけにはいかない。
全員が、そうだ。雪菜がどう思っているのか、この短期間の間で本心を理解することは難しいが、お友達、というものの言外の意味を勘ぐることは簡単である。
「葵ちゃんは、護君とどういう関係、なの、かな…………? 一緒に登校しているみたいだけど」
「雪菜さんと同じです」
「え…………?」
「お友達、ということです」
「そう、なんだ」
「えぇ、そういうことです」
葵はあえて、同じ解答を返す。
「それじゃ、あたし達行きますね」
「あー、引き止めてごめんね〜。始まるの楽しみにしてる」
「ん、私も。一番に行く」
「あたしも雪菜と一緒に行くわ」
「それではまた。お待ちしています」
雪菜と魅散と別れ、葵達三人は校舎内に。時間は七時半。文化祭開始までにはまだ、一時間以上も時間がある。それなのにもう校舎内は溢れかえっている。人をかきわけるように、中に進んでいく。
(熱心ですね、皆さん)
委員長でもあり実行委員でもある葵が抱く感想ではないが、葵は思わずこぼしてしまう。
御崎高校の文化祭。中学校とも共同で行われるもの。大学単体で行われる文化祭よりも当然パフォーマンスは落ちるが、一大イベントである。生徒会も広告を出し、市全体としてもかなり盛り上げている。高校や大学は、この御崎市を代表する建物でもある。市長などの立場がある人々が来る可能性もあると、葵は聞いている。生徒会長の佳奈にも確認したが、可能性としては半分らしい。生徒会としても、詳しいことは言えないし当然までは分からないとのこと。
葵や護は生徒会役員ではないが、実行委員をやっている以上、イベント事に関してはそれに近しい立場にはなる。
「なんかごめんねー。葵」
「なにがですか?」
思考の外から、突然の謝罪が飛んでくる。
「いやー、ちょっと騒がしいたのしい人だからさー。魅散さん」
「薫が言うんかい」
「あは。護に突っ込まれた」
「あぁ。杏さんみたいな」
「そそ。俺の姉ちゃんも」
「そういうところではある意味、慣れてますよね。護くんは」
「まぁまぁ」
(なるほど、といったところですか)
葵は一人で納得する。護の一面というのは、魅散や沙耶から影響を受けているものがあるわけだ。
「それでは私達は生徒会室に行ってきます」
「今から?」
「あぁ、そうだな。当日だし」
「そっかそっかー。じゃ、教室で待ってるね〜」