ぶんかさいっ!! #2
○
(楽しみだなぁ)
「いやはや、御崎高校はやっぱりデカいわね〜」
「う、うん。高校だけじゃなくて、中学も大学も」
「そうね〜」
雪菜と魅散は二人で御崎高校に。魅散は慣れているが、御崎高校に初めて訪れる雪菜はそうではない。ここに来る機会がまずない。
「さ、しばらくここで待ってましょ」
「え……。邪魔に、ならないかな?」
「大丈夫よ、大丈夫」
「ならいいけど…………」
校門前で魅散は足を止める。通勤、通学ラッシュのタイミングでもあり、この文化祭に向かう人達でごった返している。この中で止まるのは得策ではない。雪菜でも分かる。
(こんなに人が……)
魅散の影に隠れるようにして、雪菜は人混みを避ける。楽しみではあるが、少しゲンナリとする。雪菜は、周りに多くの人間がいるような環境はあまり好きではない。皆とワイワイガヤガヤ、そういったことが嫌いなわけではないが、少人数でいい。雪菜はそう思う。
「あっ、護くんだ」
「お、お姉ちゃん、待ってよ……っ」
護を見つけるやいなや、魅散は人の流れに逆行し、護の所に駆け寄ろうとする。一人になるまいと、はぐれてしまわないようにと、雪菜は慌てて魅散の腕を掴む。
「おーーーい。護く〜ん」
「お、おはよう……。護君」
護の横には二人の女の子。薫と、もう一人は。
(誰だったかな…………)
護本人や友達である栞から話を聞いたことがあるだけ。向こうは知らないだろうし、こっちも多くを知っているわけではない。
「薫もおはよ〜」
「朝から元気ですね。魅散さんは」
「あたしはいつもだけどね〜、薫は分かってるとおもうけれど。ていうか、あんた達こそ元気出しなさいよ」
「た、楽しみにしてる……うん…………」
このままだと魅散に流れを持っていかれそうだったので、雪菜は間にはいっていく。
「ありがとね〜。雪菜ちゃん」
「雪菜さん、というのですね」
「あ、う……うん。よろ、しくね。葵ちゃん」
話に聞いていた通りの真面目タイプにみえる。凛としており、イメージ通り。
「雪菜さんは、護達とはどういう?」
「お、お友達だよ……? お姉ちゃん同士が仲が良くて…………。実は、私の方が一つ上だったりもするんだけど…………」
(護君にはいつも、ひっぱってもらってるけれども……)
「そうですか」
「あたし達、神社の子でもあるからね〜」
「あそこには何回もいったしな」
「だね〜。護くん」
「神社、というのは?」
「鳥宮神社だな。葵も一度はあるだろ?」
「ま、まぁ……。そうだったんですね」
「そうそう」