ぶんかさいっ!!
ついに、文化祭当日。ここから三日間はお祭り騒ぎ。御崎中学校、俺達がいる高校、そして大学と、この三つは同じ敷地内にあるので、合同で開催される。ともなると三日間では短いと感じるところもあるのだが、今のところはこれが最大開催期間である。
「今日からだねー。護」
「だな」
文化祭開催時間は、初日が九時から十八時まで。二日目も同じ。最終日は八時から二十時までの長時間で開催される。勿論、最終日には後夜祭も。
文化祭が行われている間、実行委員の俺と葵は特に忙しい。開始時間よりも前に登校し、人員の配置などを行う必要がある。まぁ、それは普通の生徒も同じであって、俺達が特別早いわけではない。
「薫はギリギリで良かったのに。疲れてるだろ」
なんだかんだいいつつ、いつも通り薫と一緒に登校している。薫は昨日の最終準備でも残っており、手伝ってくれている。薫は厨房担当なので、忙しいのは開催している間。それまでは、必要以上に動く必要はない。
「いやー。今日からだと思うと楽しくて」
「子供みたいなことを…………」
「いいじゃん、いいじゃん。あたし達、大人じゃないし」
「それはそうだが」
「別に無理してるわけじゃないからね〜。心配しなくていいんだよ、護」
「そうかー? まぁ、薫がそれでいいなら」
「うんうん」
校舎が見えてくるにつれて、人通りが多くなる。朝と夕方のラッシュ時間はいつも人が多いのだが、文化祭ということもあって溢れている。多いどころの話ではない。
「護こそ無理するんじゃないわよ?」
「わかってる、わかってる」
「本当にそうですよ。護君」
「おっとと……」
人混みを掻き分けるようにし、葵が薫の横に並ぶ。
「葵もだよ」
「はい。きちんと自分の体調は管理してますから」
「うんうん。葵は安心だね」
なんだ、なんだ。この扱いの差は。まぁ、薫の言う通り、葵から弱音が聞こえてくることはあまりない。俺が知らないだけ、という可能性も普通にあるわけだが。とにかく、自分達がヘマするわけにはいかない。リーダーが倒れては意味がない。
「お二人はあまり寝ていないように思えますが…………? 大丈夫ですか」
「まぁまぁ。あたしはやる気で乗り切るよ〜」
「俺もそんな感じかな」
「護君は特に」
「ほい」
校門に近づくにつれ生徒の数が増えていく。文化祭であるので制服で登校する必要はないのだが、見栄えのため、イベント事であっても制服の着用が求められる。
「おーーーい。護く〜ん」
そんな中に紛れるように、見慣れた姿が二つ。魅散さんと雪ちゃんだ。