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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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揺らぐ気持ち #6



 (さてさて……)


 葵と並んで、二人で会議室に向かう。文化祭がすぐそこに迫り、廊下や教室は、準備にあたっている生徒でごった返している。邪魔をしないように、俺達は目的地に向かう。

 

 委員長である俺達は、自らが楽しむというより、クラスの催物がどうすればいいのか。そこをメインで考えなくちゃいけない。勿論、自身の感情を思うことは大切であるし、そうじゃないとヤル気も上がらないわけであるが、自分が楽しいからって、他人がそう考えるかは別の話。


 「護君?」

 「ん? なんだ?」

 「何を考えているんですか?」

 「いや。特には」

 「そうですか。成功するといいですね」

 「あぁ、そうだな。俺が今思ってたのもまさに、そういうことだ」

 「あらあら」


 自分は二の次。皆が楽しめて、成功すればそれでよい。俺はそう思う。


 「そういえば護君」

 「今度はなんだ?」


 葵が次の話題を振ってくる。


 「さっきのことなんですけど」

 「さっき……?」

 「はい。私が声をかける前なんですけど、なんで寝たフリをしてたんですか?」

 「あ……………………」


 分かってたんだな。実際、寝ていたタイミングもあったわけだが。


 「バレてたか」

 「はい」

 「まぁ、なんというか。二人がな」

 「薫と心愛が、ですか?」

 「そそ。二人が俺の話をね」

 「あぁ。理由も話してた内容も、ある程度分かりました」 

 「ありがたい」



 (まぁ、なんといいますか……)


 葵も、薫も、心愛も、護が必要であることを分かっている。勿論、護にとっても、自分達は大切な存在であると。


 (それは思い上がりですかね…………?)


 薫がいて、葵がいて、心愛がいて。自分達三人との付き合いがあったから、護を青春部に誘うことが出来た。この三人であったからこそ、青春部という選択肢が生まれた。半ば、無理矢理護を誘ったような気がしないでもないが、全員学校生活を楽しめているし、それが安定剤にもなっている。


 (薫さまさまです)


 葵は委員長であるから、同じ委員長である護との接点は少なからずあった。が、そこに薫がいたから、葵はより、護のことを知ることが出来た。互いに互いの気持ちを知っていながらも、護に想いを伝える勇気が湧いた。


 (でも……………………)


 報われるかどうかは分からない。頑張ったからといって、成果が得られるわけではない。勉強とは違う。自分一人だけの話ではないし、相手もいる、ライバルもいる。


 そこが難しい、と葵は思う。でも、それは自分だけが思っていることではない。全員だ。


 だから頑張ることが出来るし、結果が出ないからといって諦められるほど、自分の護に対しての気持ちは小さいものではない。


 「大変です」

 「何がだ?」

 「こっちの話です。気にしないでください」

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