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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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揺らぐ気持ち #4



 「こ……あ、……こあ、心愛ってば!」

 「……………………ふぇ!? 急に大きい声出さないでよ、薫。びっくりしたなぁ…………」

 「いやいや、だって全然反応してくれないもん」


 ボーッとしていたというつもりはまったくなかったのだが、薫に全く気付かなかった。


 (むむむ)


 「で? どうかしたの?」

 「どうかしたってわけじゃないけど……。そっちの準備とかはどうかなって」

 「大丈夫よ。あたしを含めウェイトレスは全員ね。まぁ、男装するからウェイトレスではないけど」

 「あはは。なら、良かった。ちょっと元気ないように見えたから」

 「そう? 変な心配かけたわね」

 「大丈夫ならいいんだけどね」


 最近、ボーッとしていることが増えてきたのか、今みたいに他者に指摘されることがある。心愛自身にそういう自覚はないのだが。


 疲れているわけではない。楽しめている。この文化祭の準備期間もわくわくする。小学校や中学校では味わうことのなかった感覚だ。


 (ま、あえてそうしてこなかったわけだが)


 色々な理由が重なって、過去はそうだった。今は違う。そういったものを取り払って、心愛は今ここにいる。いるはずなのだ。誰かに決められたわけではない。自分の意思で、心愛はこの場所にいる。この関係性を保っている。


 「ほーら、まただよ、心愛」

 「へ?」

 「当日、倒れたりしないでよー?」

 「大丈夫、大丈夫。バイトで慣れてるし、あたしはそんなヤワじゃないわ」

 「それもそうね」


 問題ない。ある意味バイトとは空気感が違うから、そこで疲れてしまう可能性はあるかもしれない。それでも、こっちの方が楽しい。護がいるし、葵や薫も。精神的支柱である。


 (もし…………)


 護がいなかったら? 護と会えてなかったら?


 (葵や薫とも)


 接点が無かった、ということになってしまう。同じクラスなのだから断定するほどのことでもないが、薄くなってしまうことは間違いない。友達以上の関係になれていたかどうかは分からないが無理だっただろう、と心愛は思う。


 「考えたくもないわね」

 「ん? 何が?」

 「薫達、皆がいなかったらどうなってただろう、ってね」

 「みんな? 青春部のメンバーってこと?」

 「それもあるけど、あんたや護、葵がいなかったら、あたしはどうなってたのかな、って」

 「そんなこと考えてたの?」

 「まぁ、ね…………」

 「どうしようもないよ、そんなことに時間使っても」

 「それは分かってるんだけどね、うんうん」

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