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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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揺らぐ気持ち #3



 「ごめんねー。悠樹」

 「ん…………。どうしたの?」


 突然、杏から謝罪の言葉が飛んでくる。珍しい。それに、何か謝られるようなことをされた覚えもない。


 「青春部では何も出来ないからね、ちょっと」

 「構わない」

 「そ。悠樹はあまり、そういうの好きじゃないもんね」

 「ん。問題はない」

 「ありがとね。いつも」

 「ううん。こっちこそ」


 青春部があるから、護と出会うことが出来た。関係性を築くことが出来た。皆ともそうだ。出会い自体はあっかもしれない。だが、こうして仲良く出来ているのは、間違いなく青春部のおかげである。


 杏がいなかったらどうなっていただろうか。佳奈がいなかったら。


 そして、護が……。



 「本当はやりたかったんだけどね……………………」


 杏は、ため息混じりにそう洩らす。


 「ん」


 悠樹から返ってくるのは、いつも通りの頷き。


 (本心はそう、ね)


 やりたいか、やりたくないか。二択なら、前者に決まっている。そうじゃない。予定はしていた。青春部で文化祭に参加しようと。


 (まぁ、仕方ないよねぇ……)


 タイミングが合わなかった。ただそれだけ。護と葵は委員長。佳奈は生徒会長であるし、全体を取り仕切る必要がある。準備期間ですら、全員のメンバーが集まることは無かった。なら尚更、その文化祭期間で集まるわけがない。


 「また、遊ぼう? 文化祭の後でも」

 「そうだね。ありがと、悠樹」

 「…………ん」


 悠樹なりに褒めてくれているのか。


 珍しく、笑顔も見える。


 (まぁ、護が来てからは珍しくもないけれど)


 悠樹は、入学した時からいたわけではない。途中で入ってきたのを杏は覚えている。無口、という悠樹の印象はそこから変わったわけではないが、表情豊かになった。


 悠樹に関しては、護のおかげだ。ここまで全員に対して話してくれるとは思っていなかったし、笑顔を見せてくれるとも。人に頼るだけでなく、引っ張っていくのが部長としての、杏の仕事ではあるが。例え杏であっても、自分の中での範囲がある。壁があれば、なかなか行き辛い時だってある。


 「時間、大丈夫?」

 「あ、うん。ありがと。そろそろ帰ろうかな」

 「分かった。気を付けて」

 「うん。悠樹も、早く帰りなよ〜」

 「ん……。そのうち」

 「じゃあ、またね」

 「ん」

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