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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
352/384

初めての…… #3



 「あ、甘い……………………」


 生クリームの甘みが喉を刺激してくる。こういった類のパフェだと生クリーム一リットル分とか、そういうジャンボパフェも見かけたりするが、流石にそこまでの大きさのものではない。居酒屋などでビールを飲む時に使うようなジョッキ。今俺達の目の前にあるこの二つのジョッキがどのレベルのジョッキかは知らないが、多分四百から五百ミリリットルくらいだと思う。


 「そうですね。でもこれは、いい感じの甘さだと思います」

 「そ、そうですか……?」


 はやくも手が止まってしまった俺。そんな俺を気にかけるようなことはなく、咲夜さんはにこやかに食べている。俺には理解し難い。そもそも、あまりデザートやスイーツを日常的に食べないということもあるだろうが。


 「えぇ。葡萄の酸味と、いい感じにまざりあってあますよ」


 咲夜さんはそう言う。


 「うーん、言われてみればそういう気も……」


 葡萄てクリームを一口ずつ。うん。分からん。葡萄も甘みが強いような気がしてきた。


 「そういえば、護様は、狐と葡萄というお話はご存知ですか?」

 「狐と…………? 童話、でしたっけ」

 「えぇ。イソップ童話です。すっぱい葡萄とも言うお話ですね」

 「名前だけですね。内容までは知りません」

 「そうですか」


 イソップ童話はあまり馴染みがないように思える。グリム童話やアンデルセン童話と比べると。まぁ、だからといって童話を数多く知っているわけではない。悠樹から一度、グリム童話を題材とした小説を借りたことがあるが、その程度。


 「内容は一般的な童話の内容なのですが、そこから学べる心理的なもの、教訓が面白いのです」

 「そ、そうですか…………」

 「フロイトはご存知ですよね? 護様」

 「あ、はい。それくらいは」


 夢分析でユングと並ぶ二大人物だ。


 「フロイトがこの童話を引用して、合理化の例としたのです」

 「ふむふむ」

 「内容を言いますと、一匹の狐が葡萄を食べようとするのですが、それは全て高い木になっていて、いくらジャンプしても取れない。それに怒った狐は、どうせこんなぶどうは、すっぱくてまずいだろう。誰が食べてやるものか、と葡萄を取るのを諦めるのです」

 「合理化ですね、これは」

 「えぇ。護様は、こういう思いになったことはありますか?」

 「うーん……。そうですねぇ……」

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