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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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初めての…… #1



 「ありがとうございます。咲夜さん」

 「いえ。それは、こちらのセリフでもありますから」


 買い物を終わらせ、近くにあるファミレスへ。ピークはとうに過ぎ、店内はガランとしている。ここのファミレスは確か心愛がバイトしていたような気がするけど、心愛の姿は見えない。


 (日曜だしな)


 飲食店でバイトをしてるわけだから、週末は休みたい等といった意見は通用しないわけだが、今は文化祭も近づいてきていて、時間的に余裕があるわけではない。まぁ、俺はやったことないから分からないことも多いけれど。


 「楽しかったですよ。護様」

 「そ、そうですか……?」

 「はい」


 買ったものはリボン等といった小物。メイド服のアクセントとなるアクセサリーだ。当然俺は男であるので、こういったものに詳しくないのだが、何故か俺が担当することになった。決まってしまったものは仕方ない。事前に葵や姉ちゃんに聞いたりもしたし、咲夜さんと会ったことで問題が起きることはなかった。


 笑顔の咲夜さん。これは今、俺だけに見せてくれているものだ。咲夜さんは綺麗だ。凛としていて、かっこいい。だけど、可愛いといった反対にあるものを感じてしまう。こうして二人きりになることがほぼないのだから、より、いつもより。


 「どうかしましたか?」

 「いえ、なにも……」

 「そうですか」


 無駄な感情を持ってはならない。失礼だ。咲夜さんにも、悠樹にも。他のメンバーにも。


 「さぁ! 護様。せっかくですから、何か頼みましょう」

 「あ、はい。そうですね」

 「何にしましょうか」

 「うーん…………」


 悩む。外食する機会があまりないもんだから、こういう時はいつも迷ってしまう。薫の家との付き合いで一緒に出かけて何かをすることは昔から多々あったが、それは旅行やバーベキューなどであって、外食ではない。高校生になってそういうことも増えるかなと思ったが、そんなことはなかった。外出すること自体は増えたわけだが。


 「決まりましたか?」

 「いや……、まだですね…………」

 「あは、なかなか決めにくいですよね。目移りしてしまいます」

 「えぇ」

 「私が先に選んでもいいですか? 護様」

 「大丈夫です」

 「ありがとうございます」


 咲夜さんの目はキラキラと輝いており、嬉しさや楽しさが溢れている。表情からも簡単に読み取ることが出来る。


 咲夜さんなら尚更そうだろう。少なくともこういった一般のファミレスなんかに入ったことないと思う。立場が立場だし、そもそも麻枝家がありきたりの家庭ではない。両親がしてる仕事とか、そういうのは知らないけれど。

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