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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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穏やかなお昼? #1



 「んんんっ。はー、疲れたぁー」


 心愛は大きく伸びをする。アルバイトで疲れた身体をほぐす。


 開店前から出勤し、六時間。午前は午後に変わり、夕方が近づいてきている。後二時間働ける時間は残っているが、いつもならともかく今は厳しい。課題もあるし、なんたって。


 (文化祭、もうすぐだからね)


 忘れてはいけない。高校生活最初の文化祭。始まる前からすごくわくわくしている。いってしまえば、二学期が始まった直後から。


 ここまで思える文化祭は初めてだ。中学の時はあまり参加していなかったし、そもそもイベント事に対して活発ではなかった。出店なんてものはなかったし、各クラスが劇や歌などを発表するだけ。御崎高校は中学校や大学とも連携して文化祭を行うわけだが、心愛が通っていた中学校は一般的な中学校だった。


 (まぁ、中学だし、それが普通なんだろうけど)


 思い出すのはやめておこう。それは無駄な行為だ。前だけを見ていればいい。高校生になる時、そう決断したはずだ。振り返らないようにしようと。


 「成宮さん。朝からありがとね」

 「あ、店長。いえ、大丈夫です」


 (まぁ、仕方ないわよね)


 求められている。その事について、悪い気はしない。だって、それは認められている証でもあるから。ちょっとだけ、人が足りていない。だから、心愛がこうして普段働かないような時間から駆り出されているわけだ。バイトは社会経験だ。なんとなく、やっているわけではない。


 (ま、まぁ? お金のためでもあるしっ!)


 お金は必要だ。何事をするにも。高校生だから、学生だからお金はいらない、なんていうことにはならない。先を見据えて貯金をするのも大切なことである。


 「じゃあ、頑張りなさいよ。あたしももしかしたら行くかもしれないわ」

 「え? 店長がですか?」

 「うんうん、あたしが」

 

 思わぬ来訪者。


 「あはは。驚いてる顔ね。当日まで隠しておくのもよかったんだけど」

 「仕事は…………?」


 真っ先に思い浮かぶ疑問はそれである。


 「うんうん。そだよね。多分休みだからね」

 「そ、そうですか。なら、楽しみにしています」

 「こっちも楽しみにしてるわ。んじゃ、またね、成宮さん」

 「はい、お疲れ様でした。お先に失礼します」


 一礼し、心愛はバイト先を後にする。


 「…………………………え…………?」


 裏口から出、大通りへ。心愛はそこで、驚くべき光景を見た。いや、見てしまったというべきか。


 「なんで…………? 護と不知火さんが……?」


 護がいる。それは別にどうでもいい。休日だ。護だって一人でゆっくりしたい。そういう日もあるだろう。


 何故、何故そこに、咲夜がいるのだろうか。護と二人きりで(・・・・・)。しかも、手を繋いでいる(・・・・・・・・)。咲夜が先導しているように見える。


 「いや…………」


 (なんで……………………?)


 理解が追いつかない。青春部のメンバーではなく、どうして咲夜が護と一緒にいるのか。

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