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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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穏やかなお昼 #2



 「おはようございます。護様」


 護だ。護が休日に一人でいる。護の背後や周りを確認してみても、やっぱり護は一人だ。一人きりだ。


 「おはようございます……って、どうかされましたか? 咲夜さん」

 「あ、いえいえ。珍しいな、と思ったものですから」

 「珍しい…………?」

 「えぇ」


 初。一人でいる護を見るのは、これが初めてだ。メールや電話では個人としての関わりはあったが、今は何もない、鉢合わせただけという形。そこに、佳奈や青春部との関係性はない。


 「そういえばそうかもしれませんね。一人ですから」

 「あらあら。本当にそうでしたか。でも、活動がない時は?」

 「それでも少ないですかね。姉もいますし」


 護の苦笑い。


 「護様のお姉様ですか」


 (そういえばそうでしたね)


 佳奈や杏から聞いたことがあるだけ。当然実際に会ったことはない。機会もあまりないし、今後もそうだろう。


 「それで、護様はどうされたんですか?」

 「文化祭に必要なものをちょっと」

 「喫茶店、でしたね」

 「はい」


 咲夜は、護達のクラスが何をするのかを知っている。教えてもらっている。協力をお願いされた時に、咲夜がしつこく聞いたのだ。衣服を提供する見返りだ。


 「なにか、足りないものがありましたか……?」

 「いえいえ! 大丈夫です。はい」

 「それは良かったです」

 「ありがとうございます。咲夜さん」

 「はい。護様のお力になれるのなら」


 誰かの力になることが出来れば、と思う。護だけではない。青春部に対しても。麻枝家の執事として、関わっている。咲夜は高校生ではないし、学生の身分はもう卒業している。佳奈を通じて。佳奈がいるから、咲夜は青春部の皆と関係を持つことが出来ているから。本来であれば無関係な立場にある。


 「それでは、何を買うのですか? 護様」

 「えっと……。小物を」

 「ふむふむ。私も一緒に考えましょう」

 「え!? そんな」

 「大丈夫です。時間がありますから」

 

 やることが出来た。ベンチで時間を潰していても持っていないわけで、咲夜も雑貨店などがあれば行ってみたかった。一人ではない。護がいる。より、意欲が増す。


 「時間……? 思えば、咲夜さんがこんな所で一人なのも珍しいですよね」

 「えぇ。お嬢様に言われてしまったので」

 「佳奈に、ですか?」

 「はい。今日一日はしっかり休んでくれと。私はいらないと言ったのですが」

 「あはは。佳奈らしいですね」

 「えぇ、叶いません」


 逆らう、逆らわないといった問題ではないけれど。


 「では、行きましょうか。護様」


 通行人の邪魔にもなるので、立ち話はここまで。続きはいつでも話せる。


 「はい」

 

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