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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
336/384

フェスティバル #8



 (む…………)

 

 そこは遥の席ではない。今日、その席は護のモノであり、悠樹のモノでもある。いくら遥でも、友達であっても、その場所を犯すことは許されない。


 だから悠樹は、遥を見る。当然口には出さないが、思いを視線に乗せる。


 護は何も思っていないようで、いつも杏が座っている席に腰を下ろす。そう、杏がいないのだから、別の椅子を持ってくる必要はない。


 (……………………む)


 遥に取られてしまった。


 仕方ないので諦める。これが毎日続くのから困るが、そうではない。今日だけだ。そもそも、遥は部員ではないのだから。些細なことだといえば、些細なこと。悠樹の立場を考えれば、気にするようなことではない。その程度のこと。


 「ふぅ……………………」


 遥が安堵したかのように息をもらしている。やはり、分かってやっている。そこに好意はないだろうが、わざと護を取った。わざわざそこに乗った。そういうことだ。


 (…………まぁ)



 「ん、帰る」


 チャイムが鳴った瞬間に、悠樹は立ち上がる。


 「もうそんな時間かぁ……」


 今日もいつも通り。何か特別なことをしていたわけではない。他の人から見れば、これは時間潰し、暇つぶしにしか見えないだろう。時期的に文化祭についての話し合いをしなければならないが、杏がいないと進まない。杏が部長なのだから、杏抜きで、というわけにはいかない。決定権は杏にある。杏が決めて、最終的に佳奈が承認する。この青春部には佳奈もいるので、そこのプロセスが破綻しているような気もするが。


 結局、遥は最後までいた。一時間くらいだが、護の席は遥によって占領されていた。なので、悠樹は自分から護の元に向かう。一緒に帰るために。


 二人きり、とはいかないが。そこに固執する必要もないわけだが、得られる時に得ておかなければ。


 「どうしましたか、悠樹」

 「ん、帰る……。一緒に」

 「えぇ、そうですね」


 皆を見渡して護はそう言う。


 「私と遥が鍵を閉める。みんなは帰っていいぞ」

 「えぇ!? あたしも!?」


 遥が驚いているが、悠樹には関係ない。佳奈の言葉に従うだけ。


 「そうだ。最終確認もしないといけないからな」

 「わ、分かりました…………」

 


 


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