表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
335/384

フェスティバル #7



 (はぁ…………)


 杏は一人で学校を出る。いつもなら、部活終わりなら、横には護がいる。佳奈がいる。他の皆がいる。一人になることは決してない。


 (まぁ、仕方ないけどねぇ)


 部室に顔を出せない日もある。それは、当然である。部長だからって毎日行く必要はないし、そもそも、今の杏にはそんな時間もない。


 何も放課後だけではない。昼休みも部室を開けることは可能であるが。


 (何してるんだろうね、私がいない時は)


 気になる。


 杏が主導になることが多い。自覚している。自分の意思でやっているのだから。佳奈の力を借りて、青春部を作った。作ったのは、杏なのだ。


 (もう一年切ってるもんねぇ……………………)


 時間の経過というものは非常に恐ろしいもので、護達がやってきてからここまでは一瞬だった。二学期が始まってしまった。杏や佳奈、三年生の時間はあまり残されていない。


 杏と佳奈がいなくなった後の青春部はどうなるのだろうか。誰が部長をやるのだろうか。誰が支えてくれるのか。自分が作ったものだ。気になってしまう。


 「はぁ……」


 振り返り、部室がある棟に視線を送る。といっても、青春部が面する側はこちら側からは見えない。


 (明日はいかなきゃね)


 行ける時間が減ってきている。それではいけない。


 杏は、それを見届けないといけないのだ。



 「あ、護!」

 「は、遥先輩……!?」


 ガチャ、と部室の扉があく。護の席に座り護を待っていた遥は、すぐさま護のもとに歩み寄る。


 「やっときたー。遅いよぅ? 護」

 「えぇ……。どうしたんですか?」

 「何かあるわけじゃないんだけどね。ここ来たら護と話せると思って」

 「お二人方……。そこで話されると私が中に入れないのですが…………」


 護の背後にいた葵から忠告。


 「悪い」

 「ごめんね。葵ちゃん」

 「はい」


 遥は慌てて護の席に戻る。


 (あ……。座ってどうすんの)


 護が戻ってきたのだから、自分の場所はここじゃない。


 「大丈夫ですよ、遥先輩」

 「ふぇ?」

 「椅子、まだありますから」

 「分かった。ありがと」


 座り直す。本来なら、その別の椅子に遥が座るべきであるが。


 (ん…………?)


 「悠樹ちゃん? どうかしたの?」

 「ん、なんでも…………」

 「そう………………?」


 悠樹がこっちをジッと見ていた。本人は「なんでも」と言ったが、その視線はまだ遥から外されない。


 「なんなのよー? 悠樹ちゃん」

 「ん……………………」


 言わんとしていることは分かる。分かるが。


 (そんなにねぇ……………………)


 








 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ