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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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フェスティバル #6



 「あ…………………………」


 遥は、声を漏らす。護が葵と一緒に帰ろうとしている。


 「どうかしたか?」

 「いえ……。なんでもないですよ」

 「分かった」


 佳奈に声をかけられ、護達を引き止める手段を失ってしまう。


 (あーあ…………)


 今日の機会を失ったわけだが、落ち込む必要はない。この文化祭期間は会う回数も多い。体育祭でもだ。生徒会役員とクラス委員長は、協力しなければならない。お祭りを、イベントを成功させるために。


 (楽しい、な)


 生徒会が表に立つわけではない。当然、裏方だ。メインは、それぞれの生徒だ。遥は、リーダーや何かをやるより、今みたいに支える方が好きだ。副会長というのも、会長を支える役職だ。やるべき事は多いが。遥や佳奈、役員は、この二つを得ることになる。二つの違う立場。


 「佳奈先輩、佳奈先輩」

 「ん? どうした?」

 「この後、部室……、行きますか?」

 「うーん。どうだろうな…………」


 会議室に飾られている時計の針は、五時半を指している。完全下校時刻まではまだ時間がある。


 「遥は行きたいのか?」

 「い、いえ…………っ! そういうわけでは」

 「そんな否定しなくてもいいだろう?」

 「うう」


 勢いで言葉を発してしまった。さっきも言ったが、護に話しかけられなかったことについて、遥は後悔していない。でも、会って他愛もない会話が出来るのなら、それは今が良い。


 「行こうか」

 「え……………………?」

 「青春部」

 「いいんですか……?」

 「あぁ。資料作りもまた明日やればいいし、行かないと杏もうるさいからな」

 「わわ。ありがとうございます」


 (やった)



 (嬉しそうだな)


 遥と一緒に青春部に向かう。立場上、遥と共に行動することは多いが、その先が青春部となればそれはまた別の話。遥は部員ではないのだから。


 「あ、佳奈先輩。それに、遥も」

 「お邪魔するね」


 部員以外の人間が部室に入ってはいけないなどの決まりはない。誰でも可能だ。


 「杏はどうした?」

 「今日は来てないですよ」

 「そうか」


 (なんと)


 杏のために来たというのに、本人がいないとは。仕方のない部分はあるが。


 そして、加えて。


 「護は? いないの?」

 

 護と葵は、佳奈と遥より先に会議室を出たわけだが、その姿が見えない。


 (来ないつもりか?)

 

 それだと遥を連れてきた意味がない。


 「会議があったんじゃないんですか?」

 「それはそうなんだけど……。さっき終わったの。だから、来てるかなって」

 「あれれー? 遥も護狙いかなー?」

 「ち、違うわよっ……。違う違う」

 「あはは。ごめんごめん」


 成美と遥のやり取りを横目に、佳奈は空いてる席に座る。今更だが、杏がいないと、同年代がいなくなってしまう。寂しくなるわけではないが、杏はここにいるべきだ。


 


 

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