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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
327/384

再び #7



 (にっしっし……)


 文化祭当日までまだかなりの時間があるものの、二学期になれば、いよいよという感じがしてくる。クラスはもう文化祭一色だし、部活もそう。体育会系の部活になれば大会もあり、こちらばかりにかまけている場合ではないが、高校全体が文化祭に染まる。


 流れに乗るのは当然のことだ。他のメンバーとの兼ね合いもある。そういうことを考えている場合ではないのは、もちろん成美は分かっている。が、それはそれ。文化祭の時くらい、仲良く。抜け駆けはいけない。護の占領はよくない。


 (護が戻ってきた)


 葵に連れられていた。どんな話をしていたのか。聞くまでもない。


 「ねぇ、護」

 「なんですか?」

 「決まったら教えてね?」

 「えー。楽しみにしておいてくださいよー。そっちの方がいいでしょう?」


 (むむ)


 正論で返ってきてしまった。


 「それはそうだけどぉ。こっちと被らないようにもしないと、でしょ?」

 「まぁ、それはそうですけど…………」

 「ちょっとだけ、ねっ?」

 「いやいや、やっぱり、ギリギリまでは……」

 「むー」


 (むむむむむ)


 仕方ない。


 知ったところで何か利点があるわけではないし、当日の楽しみは知らないほうが上がる。それは当然の話。


 「あ、そういえば……」

 「んん? なにかな?」

 「写真、持ってきてくれました? 去年の」

 「あ……………………」


 (うっかり……)


 「ごめんごめん。忘れちゃった」


 すっかり忘れていた。自分から言ったのに。


 「明日、お願いしますよ?」

 「うんうん」


 覚えておこう。しっかりと。これは、護との約束事だ。自分で言ったことを忘れてはならない。それだけは。


 「写真ってどの写真? お姉ちゃん」

 「去年、執事喫茶したでしょ? それそれ」

 「ふぇ……。あの写真見せるの……………………?」


 (……?)


 渚から返ってきたのは微妙な反応だった。見せてほしくない、という意図も感じる。


 「嫌なの?」

 「嫌じゃないけど……………………」

 「分かった。あたしのだけにしておくよ」

 「うん……」


 ツーショットの写真も数枚あっただろう。それだけは省いて、護のために持ってくる。それでいい。



 執事とメイド。成美も渚も女の子なんだから、似合うのはメイドの方だ。俺個人としても、見てみたいと思うのは後者の方だ。その方が、両者の女の子らしい部分も強調される。どことはいはないけど。


 (ということは……)


 成美も渚先輩も着たということは、もちろん悠樹も、ということになる。同じクラスなのだからそらそうだ。すっかり忘れていた。これは後で悠樹に直接頼んでみよう。


 「ん、護……………………」

 「なんですか?」

 「私は……、着てない、よ……?」

 「え……………………」


 なんてことだ。残念。


 (ていうか)


 なんでバレてるし。


 「あはは。残念だね、護。全員が着たわけではないのさ」

 「そうでしたか……………………」


 悲しい。物があるなら見たかった……。


 


 




 

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