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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
325/384

再び #5



 三十分くらい経っただろうか。青春部の部室にはメンバー全員が集まった状態になっていた。


 (うんうん。やっぱりこうでないと)


 昨日は誰もいなかったが、それはやはりおかしいのだ。皆で集まってワイワイガヤガヤする。これが、青春部の正しい姿なのだ。特に何も活動してない部活が部活として存続していることは、考えてみればおかしな話ではあるが。


 (ま、そんなこと気にしてもねぇ)


 成美が気にするようなことではない。部長である杏、それを支えていて実質部長みたいな立場にいる佳奈。佳奈はもちろん生徒会長でもあるから、もしかしたら、色々と便宜を図ってくれている可能性もある。職権濫用と言われればそれまでだが。


 与えられているこの空間。成美はこれを自分のために活用していく。


 ただそれだけだ。願いを叶えるために。



 「ちゅうもーーーーーーくっ!!」


 お約束の言葉。杏先輩が声を張り上げる。昨日集まらなかったから何かあったのかと少し心配になる部分もあったが、この杏先輩を見ると、そんなことは必要なかったということが分かる。杏先輩だけではない。佳奈も悠樹も渚先輩も、何も変わったところはない。


 「二学期になったということは、みんな何しなくちゃいけないか分かってるよね!」


 元気な、皆を振り回す、いつも通りの杏先輩。


 「文化祭ですか」


 今日は俺の隣に座っている成美が、杏先輩に呼応する。


 「その通りだねー。体育祭もあるけど、先にやるのは文化祭だからね!」


 部活であれば、なにか一つ出店なりなんなりすることが出来る。それはどんな部活でもだ。成美からそう聞いた。どんな部活でも問題ないから、青春部でも出店することができる。何かボランティアをやっているわけでもない。部室に来て喋って、親睦を深める。本当にその程度のことしかやっていない。


 「明日何したいか希望聞くから、みんなちゃんと考えてきてよねー?」


 お、案外良心的である。普段の杏先輩なら今ここですぐ考えてと言ってもおかしくないし、俺はそうくると思ってた。まぁ、答えられるかは別だが。


 クラスの出し物は絶対参加が条件ではあるが、部活に関してはそういう決まりはない。出店するしないも部活の自由である。だが、ほとんどの部活が何かしらやっている。となれば、大多数の人間は自分のクラスと部活、その二つをもって、文化祭の主催側に回ることになる。


 「それでいいよね」


 皆の目を見ながら、杏先輩はそう言う。


 「じゃ、私はこれで帰るね」

 「え…………………………?」


 俺は思わず声に出してしまった。成美や悠樹も目をぱちくり。


 「なに、護? 私に帰ってほしくないのかなぁ?」

 「びっくりしたもので……」


 少なくとも、杏先輩が途中で帰るなんてことはこれまでにほとんどなかったと、俺は記憶している。一学期の間のことしか知らないといえばそうだが。ありえない。


 「まぁねー。仕方ないんだよねぇ。家帰ってやらなくちゃいけないことがあるから」

 「そうですか」


 希望の確認を明日に回したのもこういうことか。


 詮索はしない。家のあれこれは、当然部活よりも優先されるべきものだ。杏先輩は多くの妹をまとめる長女だ。何かあれは、その責任は杏先輩のところにやってくる。


 「んじゃ、後は佳奈お願いね」 

 「あぁ。分かった」


 



 


 

 

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