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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
324/384

再び #4



 「あららー……、今日もいないのかな…………?」

 「どうだろ……」


 成美は今日も一番乗り。ただし、昨日とは違って、今日は渚と一緒。部室はまだ空いていなかった。


 「私、鍵とってくるよ。お姉ちゃん」

 「そう? 分かった。あたしはここで皆を待ってるね」

 「うん」


 職員室まで一緒に行くという選択肢はない。ここで待つ。閉まっていると、今日も集まらないのだと思って帰ってしまうメンバーがいるかもしれない。二日連続という風に思ってしまうのは成美だけではあるが。


 (誰が次くるかなー)


 ウロウロ。階段の前から部室の前までを行ったり来たり。ただの時間潰し。ただ座って待っているだけというのは、成美に合わない。


 「あ、おーい、まも……」


 階段を登ってくる護を見つけ、その上にいる成美は護の名前を呼ぼうとしたが、その名前を最後まで言えなかった。一番望んでいたのに。


 (あらあら……)


 一人だけじゃなかった。悠樹が横にいた。それも、手を繋いで。


 「ん、成美……。おはよう」

 「おはようございます」

 「うん、おはよー。って、もう夕方だけどね」


 平常心。平常心。


 この程度のことで取り乱してはいけない。これは日常なのだ。悠樹はこうなのだ。だから、悠樹に対して何かを言ったとしても、悠樹はそれをやめることはしない。簡単に出来て羨ましいと思うが、それは成美も同じだ。手を繋ぐなどといった行為に対して、羞恥心はない。むしろ、求めている。行動を。護を。


 「なんで、ここに?」

 「渚に鍵取りにいってもらってるの」

 「ん」

 「今日も空いてなかったんですか」

 「うんうん」


 昼休みは教室で過ごしていたから分からないが、今は昨日と同じ。


 「今日、も…………?」

 「昨日誰も部室にこなかったんだよ? びっくりしちゃったよ」

 「ん……。珍しい。護はなんでその事知ってるの……?」

 「あぁ、成美が教室まで来たので、その時に」

 「そう」


 昨日のことを思い返せば、なくて良かったと少しは思う。


 途中まで護と並んで歩いた。ただそれだけのことではあるが、皆が集まってくると、それすら出来なくなる。二人きりになれる時間は少なくなる。だから、二学期初日に、護と二人で過ごせたというのは嬉しいことなのだ。時間は短かったが、必要なもの。


 想いを強くするために。


 「お姉ちゃん、鍵、持ってきたよ!」


 渚が戻ってくる。階段の所で立って話す必要はもうない。部室に入ってゆっくりしよう。


 全員が集まるまで。

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