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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
323/384

再び #3



 「じゃぁ……、悠樹ちゃん。また、明日」

 「ん……。また明日」


 放課後


 教室を出、麻依とはここでお別れ。悠樹は青春部に向かう。麻依はそのまま帰宅。


 (また明日)


 今、麻依と約束した。また明日。何気ない別れの挨拶だが、勿論そういう意味も含まれている。今日来たから明日は休む。そういう選択肢は元からないが、現状そういう状態に陥ってしまう可能性はある。それを防ぐ。そのためにも麻依は、親友というその存在は役に立っている。


 「護からは……………………」


 (……きてない)


 朝の時間にメールを確認していたが、再度。やはり、昨日の段階で護からのメールは一件も来ていなかった。着信もなしだ。だからといって、悠樹はそれに腹をたてたりはしない。


 歩みを止めず、考える。


 昨日は二学期初日だ。杏の性格やこれまでの行動から考えて、このタイミングのいい日に部室に集まらないということは考えられない。


 だが、悠樹の携帯にはメンバー誰からの着信もメールも来ていない。部が開かれていれば、誰かから連絡がくるはずなのだ。皆色々予定があれど、皆が揃う頻度の方が高いわけで、それであって連絡が来ないというのは、単純に考えられない。


 (んー……)


 ということは、昨日は誰も部室に行かなかったということが想定される。このメンバーでそれも考えられない事柄ではあるが、そう結論付けるのが妥当である。


 「文化祭…………」


 そう。文化祭だ。昼休み、昼ご飯を食べながら麻依と話をしていた時にも話題にあがった。二学期に行われる行事といえば、文化祭。そして、体育祭。まず最初に行われるのは文化祭だ。文化祭となれば逆にそれこそ杏の出番であり大はしゃぎしそうなものではあるが。それだけ予定が合わなかったということになるのだろうか。


 二回目になれば新鮮味が薄れる。悠樹はそれほどこういった行事にはあまり興味がない。ないが、青春部にいる以上、ないからといって関わらないことは許されないし、クラスとしてやるべきこともある。


 クラスの教室がある棟を出て、部室などが揃う棟に向かう。何度も通り慣れた通路だ。


 「あ……………………」


 (護……)


 数メートル先に、護がいる。護が一人で歩いている。クラスメイトである葵、薫、心愛がいない。何か用事があって一緒にはいないのだろう。


 悠樹は歩くスピードを速める。後ろから近づく。向かう先は同じだ。


 「まも……る……」


 後ろから、護の手をゆっくりと掴む。


 「おお…………っ!!?」


 パッとすぐにその手が振りほどかれる。


 (……………………っ)


 「あぁ……、悠樹でしたか……」

 「ん……………………。ごめん……、護……………………」

 「こっちこそごめんなさい」


 表情と言動を見るに、護はただ驚いただけだ。それもそうだ。後ろから急に掴まれたから、誰だってびっくりする。自分だってそうだ。勿論、この護の言動に他意はない。


 「痛くなかったですか?」

 「ん。大丈夫……。全然問題ない」


 かなりの勢いで解かれたが。


 もう一度、手を握る。今度は護に目線を合わせてから。笑顔が返ってくる。


 「部室、行きましょうか」

 「ん」


 

 

 


 

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