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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
322/384

再び #2



 いつも通りの時間に悠樹は登校し、すぐに教室に向かう。護と会うのは昼休みでもいいし、放課後部室でも問題はない。


 悠樹と護の関係性は確かなものだが、毎回毎回教室にお邪魔するわけにもいかない。護には護の時間があるし、クラスメイトとの関わりもある。葵、薫、心愛も同様に。今はもう、そこまでして自分を主張する必要はない。


 「悠樹……………………ちゃんっ!」


 制服の裾が控えめに引っ張られる。振り向かなくても、誰がやったのかすぐ分かる。


 「麻依ちゃん」

 「おは、よう。悠樹ちゃん」

 「ん」


 入口で立っていると邪魔になるから、すぐ教室内に入る。麻依は何か言いたそうにしたいたから廊下でと一瞬思ったが、ホームルーム開始までそれほど時間があるわけではない。教室で話して他に人に聞かれて困る話なんて二人の間にはないし、声の小さい二人の会話にわざわざ聞き耳立ててくる人もいない。


 「悠樹ちゃん」

 「…………?」

 「昨日……、どうしたの………………?」

 「ん……………………。ちょっと、しんどかった……」

 「大丈夫……? メールしたのに返信なかったから…………」

 「ごめん………………。もう、大丈夫」


 メールや電話など、来ていたことは知っている。だけど、昨日の悠樹には、それに返信する元気がなかった。


 本当のことは言わない。言えない。友達であれば、親友であれば隠し事はしたくない。でも、これは悠樹の問題である。高坂家の問題である。親友を、麻依を巻き込むわけにはいかないし、これ以上それを理由に心配をかけるわけにもいかない。


 「大丈夫なら良かった」

 「ありがと」

 「悠樹ちゃんいないと……、私さみしいんだよ……………………?」

 「ん、私も、だよ。麻依ちゃんとお話したかった」

 「うん」


 (…………)


 こうして気にかけてくれる仲間がいる。それはとてもありがたいことだ。ここだけは平穏を保つことが出来る。いつも自分でいることが出来る。あの女の侵食を許すわけにはいかない。


 「放課後、青春部……、行くよね?」

 「ん。当然」


 夏休みなりともかく、二学期はもう始まっているのだ。二日も行かないなんて、二日も護に会えないなんて耐えられない。


 (必ず)


 「分かった。お昼は、一緒に食べよ……?」

 「ん」


 会話が終わるのを待っていたかのように、ホームルーム開始のチャイムがなり、先生が教室に入ってくる。


 「また後で」

 「……ん」



 

 

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