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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
318/384

不信感 #3



 (すぅ……………………)


 深呼吸。気持ちを落ち着ける。


 (はぁぁ…………)


 一人じゃない。悠樹はそう自分に言い聞かせる。時雨がこうして受け止めてくれている。何も言わずに、嫌な顔ひとつせず。


 氷雨もそう。


 (言いたいこと、あるのかな……)


 さっきもそうだ。普通の会話。それだけだ。家族なのだから、特別何か話さないといけないわけではない。無理に喋る必要はない。不安なのだろうと、そういうことは態度で分かる。いつまでもこんなことを続けている場合ではない。もちろん、悠樹だって理解している。理解しているけど、身体は動かない。


 怖い。


 「ん、ありがと…………」

 「うん」


 護はどうだろうか?


 護を不安な気持ちにさせたくない。巻き込みたくない。夏休み、護と会う時はバレないようにしていた。


 (楽に、なりたいな……)


 話してしまえば楽になる。だって、相手は護なのだから。彼氏なのだから。彼女の、悠樹の助けになってくれるはずだ。それが護であり、悠樹が好きになった男の子。


 でも、それは出来ない。自分達だけで、自分だけで、事を片付けないといけない。簡単ではない。だから、ずっと考えている。


 (学校……………………)


 少しまだ、整理出来ていなった。護は鈍感だ。話さないと分からない。そういうところがあるし、悠樹はそう振る舞える。だけど、家から出ることが出来なかった。始業式を忘れていたわけではない。青春部に顔を出さなかったわけではない。外に出たいと、思わなかった。


 (心配、してるかな……?)


 二学期初日。初日であったとしても青春部には関係ない。皆、求めている。あの空間の中にいることが好きだ。夏休みであっても、そこそこな頻度であっていたのだから。


 「ん……、メールはきてない」

 「メール……?」

 「なんでもない」


 護や杏、成美や渚あたりからメールが来ているかもしれないと思ったが、新着メールは入っていない。


 基本的に学校があれば全員が揃う。佳奈に生徒会の仕事があったりすると揃わなかったりはするわけだが。その佳奈以外の誰かが欠けたりするのは二週間に一度あるかどうか。特に今年度になってからはそうだ。


 「明日行く…………」

 「うん、分かった」


 考えると言った、その結論を出す。護に会いたいという気持ちはやっぱりあるし、他のメンバーともそうだ。その空気を、感じたい。


 「……………………っと。部屋、戻る」


 体育座り。丸めていた足を伸ばし、立ち上がる。しばらくこの体勢だったからか。少し痛む。


 「……うん。無理はしないで……………………」

 「ん、大丈夫」

 

 (大丈夫。きっと、大丈夫……)


 

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