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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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不信感 #1


 (暗い)


 自宅に戻ると、家の一切の電気が消えていた。まだまだ外は明るいし、カーテンを開けていれば外から光が差し込んでくるが。


 真っ暗だ。


 (ゆぅ姉……)


 悠樹の靴がある。本来なら悠樹はこの時間に家にはいないはずだ。


 何故か。


 部活があるからだ。青春部の活動があるからだ。久しぶりに護に会えるのだ。わざわざ会わずに帰ってくるなんて有り得ない。氷雨はそう思う。


 「はぁ……………………」


 ある程度の推測はできる。姉が、悠樹がどういう状態にあるのかは。


 部屋をスルーし、リビングへ。閉まっているカーテンを勢いよくあける。


 (ついでに窓も)


 空気の入れ替えだ。こんなところにずっといると、気分まで落ち込んでしまう。


 一気にリビングに光が入り込んでくる。その光は、ソファに体育座りをしている悠樹の姿を照らす。

 

 「ゆぅ姉……………………?」

 「なに、ひぃ?」

 「ううん…………。なんでもない…………」

 「ん」


 (うーん…………………………)


 仕方がないといえば仕方がない。でも、この状況はなんとかしなければならない。

 

 あの女を家にあげてしまった。止めることができなかった。そして、あの時、氷雨は時雨を置いて逃げてしまった。二人で追い返せばよかったものを。だから、ある意味、氷雨の責任であるともいえる。


 また、というその言葉の通り、あの女はまた現れた。


 もちろんその時は悠樹はいなかったし、そのことを悠樹には言っていない。伝える必要もない。


 「ねぇ……………………、ひぃ」


 部屋に戻ろうとしたところ、後ろからか細い声がくる。


 「なに? ゆぅ姉」

 「買い物……、いってきて…………」

 「あ、今日あたしだっけ」

 「ん…………。ひぃの番」

 「忘れてた……………………。すぐ行くよ」

 「ありがと」



 「あ……、ひぃ姉」

 「おかえり」

 「うん。ただいま」


 買い物に行こうとしたところで、ロビーで丁度帰ってきた時雨と鉢合わせになる。


 「買い物……?」

 「うん。忘れてたから」

 「そう………………。ゆぅ姉は? 大丈夫……?」

 「どうだろ」

 「そっか…………」


 大丈夫、とは答えられない。昔の悠樹に戻ってしまったような、そういう感覚がある。


 「じゃぁ……………………」


 時雨はゆっくりと口をあける。


 「私は家で待ってるね……。ゆぅ姉を、一人にはできないし」

 「うん。それがいい」


 時雨の言う通り。一緒にいないと。


 

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