二学期っ! #7
「ありゃ…………………………?」
(むむむむむ)
鍵がしまっている。青春部の部室がしまっている。
「誰もいない」
そういうことだ。授業が終わってからすぐ来たわけではない。十分、二十分経っている。それなのに、青春部の部室は空いていない。
「んー…………」
特に何かしたいことがあったわけではない。成美はただ、いつも通りのことをしようとしたまで。
「帰りますかぁ」
空いていないのなら仕方ない。職員室に行けば成美でも部屋の鍵を借りることは可能だ。だが、それをする必要があるのかどうか。昼休みであったとしてもこの部室がしまっていることはほとんどないのに、放課後の今しまっている。誰もきていない。ということは、成美が部屋を開けて待っていたとしても、護はおろか他の人が来る可能性は無いに等しい。
「仕方ないねぇ………………」
(護の教室でもいこうかな?)
二学期初日。護に会わずして帰るの嫌だ。会って話して、それから。少しの間会っていなかったのだから。
「よしっ」
方向転換。成美は早足で護がいるクラスに向かうことにした。
〇
「護はいるかなぁ?」
(お、いるいる)
いる、というか、教室内には護しかいない。タイミングバッチリ。もしかしたら護も帰ってしまっている可能性もあったわけだが。
「やっほー、護」
「うわぁぁっ……………………て、成美ですか……………………」
「あはは、びっくりしたー?」
後ろから護に大きい声をかけると予想通りの反応が返ってきた。面白い。
「はい……。やめてくださいよ…………」
「あは、ごめんごめん」
護の横の席に成美は腰を下ろす。誰の席だろうか。
(誰でもいっか)
この教室には護と成美しかいない。今いない他の人のことを考える必要はない。
「で、どうしたんですか?」
「いやー、特になにもないんだけどね。部室が空いてなかったのさ」
「だからここに来たと」
「うん。そういうこと」
「空いてないっていうのは…………、これまた珍しいですね」
「だよね。ほとんどないもん。びっくりしちゃった」
一日一回は青春部に顔を出す。皆とわいわい。一年以上ずっと、そうやって過ごしてきた。その間、部室が空いていなかったことは、昼休み合わせて数回程度。
「この後、どうしますか?」
「あたし?」
「えぇ」
「あたしは特に用事はないよ。ないからここに来たわけだし。護は……何かあるの?」
「いえ、俺も別に。これから帰ろうと思ってたところですし」
「そっか。なら……途中まで一緒にかえろ? ね?」
「そうですね」