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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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二学期っ! #6


 「おっはよー、佳奈っ」

 

 ドン、と。生徒会室の扉を勢いよく明ける。もちろん、佳奈しかいないことを知っていての行動だ。


 朝八時前。朝のホームルームまで、そこそこ時間がある。佳奈がこうしてこの生徒会室で書類の整理をしたり時間を潰したりしていることを、杏は知っている。佳奈が生徒会長の役に就いてから約一年たったが、そのルーティンは変わらない。むしろ、ここに来る頻度が上がったようにも思える。


 「いつも元気だな、杏は」

 「急にどうしたのさ? それが私だよ」

 「そうだったな」


 パソコンの電源はついておらず、何かをしていたという様子ではない。今からしようと思っていたのか、もう終わってしまったのか。


 それとも。


 (ま、いっか)


 佳奈がこの部屋で何をしようと、杏には関係ない。杏はここにいるだけであり、邪魔をするつもりもない。


 「二学期、だな」

 「そうだねー。忙しくなるよー」

 「あぁ……。大変だ」


 佳奈は生徒会長だ。二学期といえばイベントが多くあり、生徒会長としての仕事は多い。生徒のトップとして学校側への働きかけも必要であるし、生徒全体の主体性も問われるため士気をあげることもしなくてはならない。部室に来れる機会は、確実に減っていくことだろう。


 「寂しいなぁ……………………」

 「なにがだ?」

 「いや……。なんでもないよ、うん」

 「そうか」


 (三年生だしねぇ……、私達は)


 二学期になった今、本来なら、三年生は部活なんてものをしている場合ではない。運動部は夏の大会が終わり三年生は引退。文化部の三年生メンバーも次第といなくなっていくことだろう。部室に顔を出さないことが当たり前になっていってしまう時期が迫ってきている。すぐそこに。


 (まぁ、青春部は)


 形式上は文化部だが、どちらにも入らないといえば入らない。活動らしい活動はしていない。普通の高校生活を楽しんでいるだけだ。


 (と、言ってみる)


 実質、関係ないのだ。


 環境は最高だ。悪いわけがない。部室にいたとしても誰にも迷惑もかけないし、誰の邪魔にもならない。その気になれば受験勉強だって出来る。


 そういうことなのだ。


 (どうなるのかな……)


 心配になってくる。自分達が卒業した後、青春部はどうなってしまうのだろう。


 もう二学期。のんびりしている場合ではない。


 高校生活そのものが終わってしまう。


 「教室、行くか?」

 「んん? もういいの?」


 杏がここに来てからまだ五分程度しか経っていない。


 「あぁ、ここにいても今は……、特にすることがないからな」


 (…………?)


 「分かった。じゃぁ、いこ」


 


 

 


 

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