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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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在り処 #6



 「あ…………………………」


 護がいる。沙耶がいる。なんとなく足を運んだその公園で、二人を見つけてしまった。


 (……)


 しまった、という言い方は妥当ではない。家はすぐそこであるし、奇遇でもない。だが、二人だけで外にいるというのは少し珍しい。幼稚園や小学校の頃なら頻繁に見ていたものだったが、今ではそうではない。


 二人のところへ。自然と身体が動く。


 「やーやー、薫」

 「おっす」

 「暑くないですか、こんなところにいたら……」


 薫は今すぐにでも家に帰りたい。


 「まぁ、ちょっとねー……」

 

 見る限り、何かをしているという雰囲気ではない。誰かを待っている、ということでもないだろう。


 (まぁ、いいか)


 「隣、いいでしょ?」


 腰をおろす。もちろん護の横だ。

 

 帰りたい。荷物の片付けもしないといけない。でも、裏を返せば、やらないといけないのはそれだけ。後回しにすればよい。


 (今は)


 護の隣にいたい気分なのだ。


 いつもより気持ちが高ぶっている。それは二人のせい。心愛と葵のせい。


 (何が一番良いのかな)


 昔から知っている。幼稚園の頃の護。小学生の頃の護。中学生の頃の護。自分だけが知っていること。他の皆は知らない。


 それなのに、護に対して何が一番効果があるのか分からない。


 (無駄ではないんだけどね…………)


 これまでの付き合い。ある一定の優位性はあるが、それは間違いない。だけど、それだけでは勝てない。実際、勝てていない。


 (ずっとずっと)


 護の隣にいることができる。ずっと一緒にいることができる。一番護のことを知っている。


 (それなのに)


 この有様である。


 辛い。悲しい。



 「変わらないねー。薫は」

 「………………?」


 薫が選んだのは、沙耶の横ではなく護。ぴったりと。


 自分が家にいなかった間も、二人の関係性は変わっていない。


 しかし、それではダメなのだろう。昔のままの関係性ではいけなかったのだろう。


 告白をし、護がその答えを保留している。護は優柔不断だ。肝心な時にそうなる。姉である沙耶が一番知っている。だとしても、本当に薫のことを思っているのなら、護は一回で了承するはず。


 告白の話は知っている。葵や心愛より後に告白したことも。


 それでも。それでも、だ。


 おかしな話である。

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