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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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在り処 #4



 久しぶりに一人で帰る。いつも隣にいる薫は、心愛と葵にとられている。カーテンの隙間から薫家のリビングが見えるが、家にも誰もいないようだ。電気が消えているし、気配がない。


 「ただい……………………ま?」


 (んん?)

  

 沙耶の靴があるのは当然として、母と父も家にいるようで。この時間に帰ってきているとは。珍しい。加えてもう一つ、知らない靴が一足ある。来客だろう。


 「あー、まもるー」

 「ただいま」


 姉ちゃんが顔だけひょっこりだし、俺を出迎えてくれる。


 「んー……………………。おつかれかなー? 護は」

 「どういうことだ?」

 「ちょっと外いこ?」

 「え……」


 今帰ってきたばかり。暑いし、シャワーを浴びて汗も流したい。これからというのは少々だるい。


 「おねがい、護」

 「わかった。とりあえず荷物は置いていいだろ?」

 「うん」


 部屋に荷物を置き、すぐに玄関へ。姉ちゃんはもう、外に出ようとしていた。


 「ごめんね。護」

 「いやいいけど……。なんかあるのか?」

 「まぁ…………、あるのはあるかなぁ……………………」


 歯切れが悪い。


 「それはおいおいってことで」

 

 今は言えない、ということなのだろう。察しはつく。父がいて、姉ちゃんは逃げるようにして俺を連れ出した。


 なにがあったのか、それは分からない。母がいて、父がいて、そして知らない人がリビングに集まっていた。俺はそこに混ざれない。混ざっちゃいけない。



 (どうしようかな……)


 タイミングが悪い。そのせいで、こういう風に護を連れ出してしまった。


 明らかに不自然だった。


 (助かるよ。護)


 なのにも関わらず、護は言うことを聞いてくれた。従ってくれる。


 もちろん、その護の対応は正しい。例え護に断られたとしても無理矢理外に連れ出していたが。


 「公園、いこっか」


 時間を潰せるのならどこでもいい。隣の家が一番良いわけだが、誰もいないことは確認済み。合鍵等といったものは持っていないし、それに、無断ではいけない。


 「姉ちゃん」

 「なにかな」


 隣ではなく後ろを歩いている護。歩くスピードを落とし、沙耶は護に並ぶ。


 「やっぱりいいや」

 「おっけー」


 言わないといけない。理解している。でも、いつ言えばいいのか。


 (はぁ………………)


 護は何も知らない。だから、どこまで護に伝えればいいのか。それが分からない。


 護の邪魔はしたくない。


 「いやー、それにしても本当にあついねー」


 さっきまでクーラーの効いた部屋にいたというのもあるが、数分歩いただけで汗がたれてくる。


 来客が帰っていることが最低条件ではあるが。


 (帰ったらお風呂に入らないと)


 

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