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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜二章〜
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探索 #1


そんなことで今日は日曜日。


杏先輩にお金を多めに持ってきてね、と言われたため出来る限りのお金は持ってきたつもりだ。少しばかり、貯金を崩してきたりもした。手持ちがあったわけではなかったからだ。


何をする予定なのかは知らないし、その時の組むメンバーによって変わったりもするだろうが、映画や買い物をするのであればそれなりの金額は必要であろう。


羚に今日のことを話したらとても羨ましそうにしていたので、後でお土産話でも聞かしてやっても良いかもしれない。


羚がどんな話を望んでいるのかは知らないが……。


現在の時刻は八時半。集合時間の三十分前である。


先輩達を待たせまいとして早めに家を出たのだが、少々早かったらしい。


テスト前、葵の家に集まった時には悠樹先輩達が先に来ていたような気がするが、それよりも早く来てしまったということは、心の何処かで俺も今日のことを楽しみにしていたのだろう。


こうして時計をチラチラと確認しながら待ってると、なんか彼女を待つ彼氏のような感じになる。


彼女持ちの彼氏は毎回こんなことを思っているのだろうか。


「あっ………………」


視界の隅に悠樹先輩を捉えた。


「悠樹先輩。こっちです」


手を上げ、悠樹先輩に挨拶を交わす。


「護。おはよ」

「おはようございます」


悠樹先輩は俺を見つけると、たったった、と人混みの中を掻き分け俺の元へとやってくる。


先輩は白のフリルの付いている丈が膝上くらいまでのワンピースを着ている。頭には白の髪飾り。


「先輩。その髪飾り」

「護が買ってくれたものだから」

「やっぱり悠樹先輩にはそれが似合ってます」

「ありがと」


悠樹先輩と他の皆を一緒に待つ。


悠樹先輩が乗って来た次の電車に乗って来たのは薫、葵、心愛の三人だった。


現時刻は八時四十五分である。


葵は黒を基調としたミニスカートと胸元に白色のリボンが踊っているブラウス。


薫は少し長めのブラウンのスカートにピンクのパーカー。パーカーの下には白色のシャツがのぞいている。


心愛は太もも辺りまであるニーハイソックスと髪の色よりも少しばかり薄い赤色の大きめのリボン。服の色はそれよりもまた薄い。首元には何かのキャラクターを形どっているネックレスが見えている。


「おはよう。薫、葵、心愛」

「おはよう」

「おはようございます」

「おはよっ」


皆がだんだん集まってくるに従って、駅の周りにいる人の数も増えていっている。まぁ、休みの日だから仕方が無い。


「悠樹先輩。もう少しこっちに寄ってください」

「ん」


悠樹先輩は薫と葵の間に人混みを避けるように入る。


こうして四人を見比べて見ると心愛より悠樹先輩の方が少しばかり小さいように見える。


その人混みに続くように渚先輩、成美先輩が到着した。


「ごめん。待った?」

「待たせてしまってごめんなさい」

「いえ、そんなことないですよ。俺たちだって今さっき着いたばっかりです」


その俺の言葉に四人は頷く。


待ったといえば二十分くらい待っているのだが、それは俺が早く来すぎただけなので関係はない。


「杏先輩はまだなの?」


そう尋ねてきたのは成美先輩だ。


「はい。成美先輩達の列車には乗っていなかったんですか? 」

「あたし達の乗っていた両にはいなかったよ。もしかしたらギリギリに来るかも」

「そうですか」

「お姉ちゃん。私やっぱりこの服似合わないよ」

「そんなことないよ。あたしが似合ってるんだから」


そう言われ気づいたのだが、渚先輩と成美先輩は同じ服を着ていた。


デニムのショートパンツをはき、心愛よりは短いが膝が隠れるくらいの黒のニーハイソックス。


成美先輩が渚先輩に無理矢理着せたという感じがする。


成美先輩はその言葉や行動からもこういった感じの服が似合うのだと思うが、渚先輩はどちらかというとおっとりしているため、似合わないということはないがかなり新鮮である。


「護君。似合ってる?」

「あ、はい。大丈夫ですよ」

「本当に?」

「本当ですってば」


渚先輩はなんども成美先輩の方をチラチラと見ながら、「やっぱり似合わないよぉ」などとつぶやいている。


そんな渚先輩の後ろから杏先輩がひょっこりと顔を出し、俺たちの前へと姿を現した。


「ごめん。遅れた…………」


杏先輩は肩で息をしながらそう言う。


時間としては九時ぴったしだし、遅れたというわけではないんだが。


「大丈夫です。時間ジャストです」

「そう? なら良かった」


杏先輩はまだ肩で息をしている。恐らくここまで走ってきたのだろう。


頬もほんのりと赤らんでおり、そのきている服、渚先輩、成美先輩と似たような感じのデニムショートパンツと、着ていたチェックのコートを脱ぎ、下に着込んでいたシャツ一枚になっている杏先輩は少しばかり色っぽく見えた。


「どうしたの護。そんなにじろじろと私のこと見て」

「な、なんでもないです」


ここで気づいたのだが、どうやら俺は、頭の中で考えている人の方を見てしまうという癖があるらしい。これからは控えておく方がいいだろう。


「そんなに人のことを見ておいて、何も無いということは無いと思うんだけどなぁ?」


杏先輩はそう言いながら俺に詰め寄ってくる。俺は少しのけぞりながら答える。


「本当になんでもないですってば」

「ならなんで後ろに下がるのかな?」

「う………………っ」


そう言いつつ杏先輩は距離を詰めてくる。杏先輩は体の一部の存在感が非常に高いので今のように近寄ると当たってしまう可能性が大いにあるのだ。その…………胸とか…………。


まぁそんなことは言えるはずもなく。


「どうしてかな?」


またしても杏先輩は詰め寄ってくる。


後ろに柱があるため、これ以上下がることは出来ない。


だからそんなに近づいたら当たりますってば! というかもうすでに当たってますけど!!


杏先輩は何かに気づいたらしく。


「なるほどねー」

「何なんですか………………」

「ウブだね護は。そんなこと気にしなくても良いのに」

「気にしてください」

「これ以上やったら可哀想だからやめておこうか」


杏先輩はようやく離れてくれた。


ここで気にするなと言う方が無理だろう。気にしてしまうのは悲しいかな男の性というものだ。



「じゃ、メンバー決めるからあそこの店に入ろうか」


杏先輩が指差す店は俺と悠樹先輩が以前行った場所、心愛がバイトをしている場所だ。


ウェイトレスが案内してくれた店の一番奥の席に座る。


俺たちが八人で来店したためウェイトレスが四人で座る様の机を二つくっつけてくれた。


「で、メンバー決めなんだけど、もうクジで良いよね」

「はい」


杏先輩は、鞄の中から八本の棒を取り出した。


「四つだけ印が付いてるからね。その印のあるなしで決めるから」


結果、俺、杏先輩、悠樹先輩、葵のペア。成美先輩、渚先輩、薫、心愛のペアとなった。


「んじゃ、これで昼間では過ごそうか。十二時過ぎたらここにもう一度集合ね」

「了解です」


そう言うと杏先輩は俺に伝票を渡してくる。


「ん? 何ですか?」

「お金。多めに持ってきてねって言ったよね」

「まさか俺が払うんですか?」

「うんっ」


何故かそんな笑顔で見られると別に払ってもいいかなと言う気持ちになってくる。


(やっぱり……)


まぁ、元々払うつもりではいたし別に良いんだけれど……。



ファミレスにおける出費は持ってきた金額の十分の一ほどだったため、杏先輩、悠樹先輩、葵と過ごす昼までなら大丈夫だろう。


一度繁華街の入り口まで戻り、全体図を確認する。


「へぇ、こんなに広いんだ」


杏先輩が独り言のようにもらした声に反応したのは葵だ。


「はい。ここの繁華街は入り口から出口まで行くのにも長いですからね。この前に私の家に来た時にもそう感じたはずです」

「まぁ、そんなんだけどね。ここまで広いとどうするかな」

俺もその全体図を眺めてみる。


入り口から出口までで二キロ程、横の幅も同じく二キロ程あると書いてあった。


「じゃ、北側と南側に分かれようか。昼になったらさっきのファミレスに戻ってくるということで」

「分かりました」

「それじゃ、行動開始っ!!」



南側で行動することになった俺達のグループは、テンションの高い杏先輩を先頭に俺達が付いていってるという構図になっている。


「杏先輩。どこに寄るとか決めてるんですか?」

「ん? 決めてないよ。適当に歩いてるだけ」

「マジですか。先頭を進んでるからどこに行くのか決まってるかと思ったんですけど」

「にっしっし。なんか良い店があったらそこに入るみたいな感じでいいんじゃない? 悠樹もそれでいいでしょ」

「私はそれでも良い。でも、アクセサリーとかそういうお店に行きたい」

「了解。葵は?」

「私ですか。私は服とか探したいですね。アクセサリーも良いと思います」

「うんうん。じゃ両方売ってるような店ある?」

「ありますよ。もう少し先になりますけど」

「よし。じゃ、そこに行こう」


杏先輩は葵と悠樹先輩の手を取り、早々と先に向かってしまった。まぁここで俺が何を言っても、杏先輩は聞いてくれないだろうとは思う。ここで杏先輩達を見失ってしまうと元も子もないので、早足で追いかける。


「杏先輩。ちょっと待ってください」



「こ、ここです」


葵は息を切らしながら答える。


杏先輩に手を引かれ杏先輩と同じ速さで走っていた葵と悠樹先輩は、かなり疲れたような表情をしていた。


ここで俺と杏先輩の走る速さがそんなに変わらないことにショックを覚えつつ、杏先輩は葵や悠樹先輩、俺と違って息を切らしてないところを見ると体力の高さが知られる。


「杏先輩。急ぎすぎです」

「護もこんなことで疲れてるようじゃダメだよ」

「あんなスピードで走ったら疲れますってば……」

「そうですよ…………」

「疲れた……」


葵と悠樹先輩も俺に加勢してくれる。


「そうかな? 私は全然疲れてないんだけど」


杏先輩はそう言いつつ、またしても葵と悠樹先輩の手を取り店内に入る。


「ここの店は一階がアクセサリー類が売っていて二回に服が売ってます」

「じゃ、私と葵は二階だね。護と悠樹は一階」

「分かりました。何時くらいまでこの店に居ますか?」

「そうだね。用が終わったら電話するから。それでいい?」

「了解です」


そうして杏先輩と葵が二階へと向かい、姿が見えなくなってから俺は杏先輩の電話番号を知らないことに気が付いた。


「悠樹先輩」

「何?」

「悠樹先輩は杏先輩の電話番号とか知ってますか?」

「知らない」

「そうですか…………」


そういうことなら葵からかかってくるだろう。後で杏先輩の番号も聞いておこう。


「護。あっち見て来ても良い?」

「はい。良いですよ」


悠樹先輩はふらふらと、しかし何かを求めるように店の奥の方へと行った。


途中すれちがった男の人とぶつかる。


「ちっ………………」


その相手の男は悠樹先輩を一瞥しただけでその場から離れてしまった。


「悠樹……………………っ」


この時、俺の口から咄嗟に出た言葉はいつもとは違うものだった。


俺はすぐに悠樹先輩の元に駆け寄った。


「大丈夫ですか?」


悠樹先輩はよろよろと起き上がり、


「大丈夫。でも……」

「でも?」

「今、護が私のこと……………………、悠樹って呼んだ」

「ごめんなさい。つい………………」

「別に謝らなくていい。私はそう呼んで欲しい」

「はい………………」


そう言えば、いきなり呼び捨てにするのはあれだからって俺が言ったんだっけ。


「これからは、呼び捨てで呼んで」

「でも…………」


俺は反論の意を唱えた。


「でもじゃない。私たちはまだ出会って一ヶ月くらいだけど、それなりに仲良くなったと思っている」

「それは、俺だって思ってます」

「ならっ!!」


悠樹先輩が少し声を荒らげる


「でも、先輩を呼び捨てにするのは………………」

「じゃ、二人きりの時くらいは悠樹って呼んで?」

「そういうことなら」

「ありがと」


悠樹先輩のその喜びに満ち溢れた顔を見ていると、こちらの顔まで綻んでくる。


「ん?」


俺は自分の後方の上側、二階の方向から一つの視線を感じた。


「どうしたの?」

「いえ…………」


まぁ、こちらを覗いていた人がいるのならそれは杏先輩であろう。後で問いただしてみよう。


「護。早く行こ!」


悠樹はさっきこの店まで走った杏先輩のように、俺の手首を掴んだ。


店内にいる客はさっきぶつかった男を除いて女性ばっかりで、俺を見ては怪訝そうな顔で去っていくのだった。


店の看板や店内を見るに男が入りずらい佇まいではあるが……。


悠樹は自分の欲しそうな種類のアクセサリーを見つけると、まだ俺の手首を掴んだそのままでその場所へと歩いていく。


手を持たれているわけだから、自然と悠樹の後をつけることになる。


「悠樹先輩。何か欲しいものとかあるんですか?」

「悠樹。今は二人だけ」

「すいません」


どうも慣れない。心の中でなら簡単なことではあったが、こう言葉にするとなるとやっぱりいいのだろうかと思ってしまう。


「欲しいものというのはまだ決まってはない。けど、良いものがあったら買いたい」

「だったら言ってくださいね。俺が買いますから」

「そんなことしなくていい。さっきのファミレスでも払ってた 」

「あれくらいならなんてことないですよ。杏先輩にはお金を多めにと言われてましたし」

「良いの?」

「はい。気にしないでください」

「なら、これ………………似合うと思う?」


そう言いつつ悠樹が手にとったのは、これが今噂のパワーストーンでできている! 運気アップ、というポップが商品の横に書かれている白色の石が使われているブレスレットだ。


「はい。似合いますよ」


やはり悠樹には白色の物が似合う。この前のリボンだってそうだ。


「ん。なら、これにする」

「でしたら買ってきます」

「ありがと」


悠樹の礼を受けレジへと向かおうとしたのだが、ここでふと、まだ悠樹が俺の手首を掴んでいることに気付いた。


「悠樹。手首を掴むのなら普通に手を繋ぎましょうよ。この体制で歩くのは少し…………」

「ん」


悠樹の手が自然と俺の手の中に収まる。


「じゃ、行きましょう」


俺はその手に少し力を込めた。


やっぱり小さいんだな、と俺は思った。邪険に扱ってしまうと、壊れてしまうんではないかと思えてしまう。


レジに着き、財布を取り出しそれを開けるために悠樹と繋いでいた手を解こうとしたのだが悠樹の俺の手を握る強さが増した。


「悠樹。一旦離してくれませんか?」

「嫌だ」


そう言う悠樹の顔は何度も経験したもので、絶対に自分は下りないという顔。


仕方なしに片手で財布の中からお札を取り出し店員に渡す。


「ありがとうごさいました」


店員の声を背に俺達は杏先輩と葵がいる二階へと向かうのだった。



二階に上がっても悠樹は俺の手を握ったままで、俺は半ば諦めるように、それに対して悠樹の気持ちに応えるためにその手を握り返す。


俺も、悠樹と手を繋ぐというなにやら嬉しい出来事を長くでも続けていたいが、この状況を杏先輩にでも見られたりでもしたら、後で何を言われるのか知ったもんじゃない。いや、もしかしたらもうすでにこの状況を見ているのかもしれない。


「悠樹。そろそろ手を離してくれまませんか?」


そう言うと悠樹は少し哀愁の表情を浮かべる。


「護は、嫌?」


その悠樹の上目遣いは、こちらの心を射てしまうほどの破壊力があった。


俺は一瞬ドキッとしながら。


「いや、そう言うわけではないですけど………………」

「 私は、もうしばらくこうしていたい」


こう言われるのを分かっていたような気もする。


「分かりました。 買う物はさっきのだけで良かったんですか? 」

「うん。あれだけでいい。昼の方でも買いたい物が出るかもしれないから。護は何も買わないの?」

「はい。あまり買いたい物もないですし」


はっきりというと買いたい物が無いというより、男が変える物がない。


悠樹が買ったような物なら男子が買っても大丈夫かもしれないが、あの色はラスト一個だったし、残りの色はピンクを筆頭とした主に女の子がつけるような色ばかりだった。


そして、悠樹の買い物が終わったということはこちらの要件は終わったということだ。


杏先輩のメールアドレスも知らないので葵にメールを出す。


文面は、「そっちはどう? そろそろ終わりそう?」 だ。


メールは数十秒後にすぐ返ってきた。


「まだ終わりそうに無いですね。私より杏先輩が楽しそうにしてます。そちらは終わったんですか?」


俺もそのメールにすぐに返信する。


「うん。店の前で待っておこうか?」


さっきよりかは遅かったが。またしても返信は早いものだった。


「今、杏先輩に聞いたんですけど、私達がいるところまで来て欲しいと」


俺は悠樹に告げた。


「杏先輩が俺たち二人を呼んでるそうです」

「そう」


俺も早めにメールを打つ。


「分かった。今どこにいる?」

「店の奥の方です。ワンピースが多く並んでいるので分かるかと思います」

「分かった。早めに向かうようにする」


数十秒間隔でメールが続いている間も、俺と悠樹の手は繋がれたままだ。


近くにある見取り図へと足を向かわせる。


ワンピースが沢山と言っていたので、それに関連してそうな言葉を探す。


簡単に見つかった。単純にワンピース売り場と書かれているのがあったからだ。


「ここにいるみたいですね」


俺はその場所を指で指す。


「それなら行こう」

「そうですね」


どうでもいいことなのかもしれないが、俺たちは手を繋いだままで杏先輩たちの元へと向かっている。


俺もさっきは杏先輩に見られたりでもしたらなんて思っていたけれど、今はそんなこと思わなくなっている。これも悠樹のおかげなのだろうか。


見取り図で見る限りはそんなに遠くはないと思っていたが結構遠い。本当に広い。



杏先輩達の元へ向かっていると携帯が鳴った。葵からだ。


「護くん。私です」

「どうかしたのか? 」

「そういうわけではないです。場所分かりますか?」

「うん。大丈夫だよ。見取り図を見その遠さにゲンナリしてるところだけどね」

「私もそう感じました。まぁのんびり来てもらって良いですよ。なんなら他の服を見て来ても」

「そうか? ならみてから行くかもしれないな」

「分かりました。ならこれで切りますね」

「おぅ」


携帯をポケットに戻し、俺は隣にいる悠樹へと話しかける。


「葵が他の場所も見て来ていいと言ってるんですが、どうします?」

「護が他に見たいものがあるなら、そっちを優先するけど」

「俺ですか? 俺は何も見たいものはないですよ」


見渡す限り、そのにあるのは女性物の服ばかりで、男が買う物では無い。


「なら、杏先輩達のところに行く」

「そうですね」

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