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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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Suddenly #3


 「どうするの?」


 薫は心愛に投げかける。


 「そうね」


 人混みの中、三人ははぐれないように手を繋ぎ、足を前に進める。


 学校から駅へ。今は絶賛夏休み中。そのため、平日でも人がごった返している。


 「御崎駅まで、いきましょうか」

 「葵の家ってこと?」

 「はい」


 (久しぶりね)


 五月頃の、あの勉強会以来になるのだろうか。もちろん、それから何回も遊んだが、家にまで行く機会はあまりなかった。


 (まぁ、今回も、だけどねぇ…………)


 話をするだけだ。護についての。心愛は何も言っていないが、単純に考えればそうなるだろう。それならば、場所はどこでもいい。ファミレスでも、学校の部室でも。一番邪魔が入らないのは誰かの家だが。


 (どうしようかなぁ)


 合宿は終わってしまった。だがそれは、薫にとって痛いことではない。護との旅行はまだある。二人きりになるかどうかはまだ分からないが。


 それに、なんてったって、護と一番距離が近いのは。


 (あたしだから)


 見栄を張っているわけではない。昔から一緒なのだ。一緒に成長してきたのだ。物理的にも、心理的にも、薫が一番近くて当然なのだ。他人に邪魔されるわけにはいかない。そこはハッキリとしないと。



 (さてと……)


 まずは親に連絡をしないといけない。二人が来ることを伝えないと。


 「連絡してきますね」


 駅に着き、人が少ない所へ。携帯を取り出し、母親をコールする。


 「もしもし。お母さん?」

 「葵? もしかして、もう帰ってくるの?」

 「うん。今から帰るところ。それでね。心愛と薫も一緒なんだ」

 「あー……。ごめん、葵。いまちょっと忙しくて……」

 「……? 分かった。ごめんね、お母さん」

 「ううん。こっちこそ。それじゃぁまた、帰る時に連絡おねがいね」

 「うん」



 葵が戻ってくる。


 「家、無理みたいです……。ごめんなさい」

 「えぇ!? そっか……………………」

 「うーん。残念だね……」


 久しぶりに行けると思ったが、そう上手くはいかないらしい。


 「どうする?」


 切符を買ったわけではない。まだ戻ることが可能だ。選択肢は残っている。


 「ファミレスはどうかな。涼しいし」

 「うん」

 「申し訳ないです」

 「仕方ないよ。謝らなくても大丈夫」

 「そうそう」


 話すことが目的である。そのことに意義がある。場所はどこでもいい。



 


 


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