表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
294/384

Suddenly #1


 (帰ってきた)


 御崎高校に。解散場所はここだ。


 杏は車の中。護達を見送る。中に残っているのは、咲夜と佳奈。合わせて三人。後は家に帰るだけだ。


 (遊びたいんだけどねぇ……)


 そういうわけにもいかない。家を空けすぎている。皆、自分がいないと何も出来ないというわけではないがいた方がいいに決まっている。杏が一番の年長者なのだから。


 「それじゃぁ、解散ということで」


 車の中から合図を出す。


 青春部、第一回目の合宿はこれで終わりだ。



 「帰ろ、お姉ちゃん」

 「そだねー」


 護の方に行こうとしていた姉を、渚は止める。


 (もう……)


 気持ちは分かる。でも、もう充分であろう。成美はこの合宿において有利に動くことが出来た。それは紛れもない事実であろう。護と同室であり、二人きり。自分達には知り得ない進展がそこにはあったに違いない。


 だから、そうであるなら、今ここは、おとなしくしておくべきだ。渚は、双子の妹として、ライバルとしてそう思う。自分の立場もある。


 「どうしたの? 渚。帰るんでしょ?」

 「うん」


 お姉ちゃんを立てる、お姉ちゃんに従う、その行為。


 何故、これまでそうしてきたか。


 (下……)


 そう。答えは明白だ。


 姉より、劣る。こういう場合における恋について、当然、渚は成美より劣る。自分を抑えて、護のことを見ていた。


 (やめないと)


 いつまでも、構えている場合ではない。自ら意思を伝えていかないといけない。負けてしまう。


 どこまでやれるのか。それは分からない。この想いを無駄にするわけにはいかない。大切な想い。見てるだけではつまらない。そう思えるようになった。


 収穫はあった。


 「渚!!? 前、前……っ!!」

 

 ゴンッッっっっっっっ!


 前方不注意だった。



 「ん」


 車を出、咲夜さん達を見送る。次はいつ会えるだろうか。また礼を言っておかないと。


 「悠樹?」


 袖を引っ張られる。これももういつものこと。可愛らしい。


 「この後、用事、ある?」

 「ないですよ? どこか行きますか?」

 「ん……………………」


 はやく帰ってこいと言われるかもしれないが……。


 (うん)


 確実に言われるな。ある程度の時間は伝えてある。遅れたら電話がかかってきそうというか、今かかってきてもおかしくない。


 「やっぱりいい」

 「……? そうですか?」

 「ん」


 薫は葵と心愛と一緒にどこかにいってしまったし、成美と渚先輩も二人で一緒に帰ろうとしている。


 「帰る」

 「はい」


 一人か。久しぶりだ。


 (仕方ないか)


 おとなしく、一人で帰るしかなさそうだ。


 

 

 


 


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ