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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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最終日 #2



 「じゃー、帰るよー」


 荷物をまとめ、そしてチェックアウトを。これで、旅館さざなみとはお別れだ。出来ることなら、また来年も使ってみたい。杏はそう思った。青春部としてくるのであればそこに自分と佳奈はいないが、思うだけなら自由だ。


 当然、ここだかの付き合いにはしたくない。青春部を辞めた後も、関わりを持っていたい。特に、護とは。


 ただ、それは、杏が望んでいることだ。来年どうなっているかなんてことは、誰にも分からない。大学に進学する以上、敷地は一緒だとしても、今のようには会えない。辛い。


 いつも通り、杏は先頭を行く。皆の前を歩く。杏の役目だ。


 「お疲れ様です。杏様」

 「あ、咲夜さん」


 一緒にひっぱってくれた咲夜。相談にも乗ってくれた。咲夜がいなかったらどうなっていただろう。乗り越えられなかったかもしれない。楽しいだけではない。この旅行、合宿で、考えることも沢山あった。


 「ありがとうございました」


 真面目に。感謝の気持ちを述べる。嘘ではない。本当に、助けになった。


 (頑張らないと…………………………)



 帰りも、もちろん咲夜さんの車で。三列目に座る。ここに来た時と同じだ。だが、隣には成美がいる。悠樹もいるわけだが、これが違う点だ。


 「もう少し横に……………………」

 「いや」


 咲夜さんの運転は荒い。左右に揺れたりすると、隣にいる二人がこちらに寄ってくる。それでなくてもくっついている状態であるのに。


 「成美も…………」

 「いいでしょ。別に」


 まぁ、分かっていることだ。言ったところで離れてくれるとは思っていない。


 前にいる薫や心愛、それに葵がちらちらこちらを見てくる。



 (まぁ、仕方のないことですけど……)


 また隣を取られてしまった。今度こそは、そう思っていた葵だったが、隣に護はいない。残念だ。帰るだけだで、それ以上でもそれ以下でもないが、少しは護のことを。旅行はこれで終わってしまうのだから。


 「ねぇ、葵」

 「なんですか? 心愛」

 「後で話さない?」


 (……………………?)


 「それは帰ってすぐ、ですか?」

 「うん」

 「あたしもいいかな?」


 すかさず薫が入ってくる。


 「うん。どちらかというと三人の方がいいかな」

 「何か、あるんですか?」


 心愛がこう言うのはめずらしい。重要なことがある。そう考えてもいいだろう。


 「んー、その時言う。それでいい?」

 「あたしは問題ないよー」

 「まぁ、はい」



 心愛は考える。自分達のことを。護のことを。


 最初は隣にいる葵だけを誘うつもりでいたが、薫に言われ気付く。自分達は同じ同級生だ。クラスメイトだ。省くのは間違っている。三人で、三人だけで話さなければならない。


 痕を残すわけにはいかない。


 (最後にしないと………………ね)

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