曇りのち #7
(ペアかぁ……………………)
ペアは五つ。護とペアになれる可能性はそれほど高くない。
(まぁ、でも)
同じ部屋という意味では、成美はもうすでに護とペアを組んでいるようなものだ。ここでも、という想いは当然ある。これまでバレーをする機会はあまりなかったけれど、足を引っ張ることはないだろう。
「じゃんけんで決めるか? 杏」
「そだね」
部屋割りの時にも取った手段。
「一気にしたらなかなか決まらないと思いますけど……、どうしますか?」
「あー……、そうだねぇ……」
十人もいる。やっぱり、公平な手段だが面倒な部分が出てくる。
「今のこの立ち位置で分けましょうか」
咲夜が提案してくれる。
「隣同士でペアを組めばいいのですよ」
今、成美の隣にいるのは渚。護ではない。そして、そういった咲夜の隣には護がいる。咲夜に限ってそんな狙い方はしないと思うが、護が取られてしまう。
「私はそれでも構わないが」
「わ、私も大丈夫です」
咲夜の安に、佳奈と渚が賛同してしまう。
(仕方ないかぁ……)
鬱憤は後で晴らせばいい。成美は考えをシフトさせる。
〇
(あ……)
賛成してもらってから、咲夜は後悔した。
(失敗してしまいましたかね……)
なんとなく、決めやすい方法だと思った。純粋にそれだけだった。でも、この場合自分のペアとなるのは。
「お願いします。咲夜さん」
「こちらこそよろしくお願いしますね。護様」
護だ。
護を取ってしまった。これは失態だ。やってしまった。もう少し配慮をするべきだった。自分の立場を考えるべきだった。
「………………………………」
「咲夜さん?」
「…………はい?」
「どうかしたんですか?」
「いえ。大丈夫ですよ。頑張りましょう」
〇
(さてさて……)
やることも決まって、ペアも決まった。後は、その決まった中で何をしていくか。
「頑張ろー」
「はい」
杏のペアは薫だ。護は咲夜と。護とペアを組むことは出来なかった。
「杏様」
護と一緒に、咲夜がこちらに。
「総当り、で?」
「はいっ」
(そうだなぁ)
単に試合をするだけではつまらない。そこに勝敗というものがついてくるのだから、それを利用するべきであろう。一番負けたペアには罰ゲームを。自分達のペアがそれを受けることになる可能性ももちろんあるわけだが。
「あ、杏先輩」
「なにかな?」
「勝ったチームには、何か、ありますよね?」
薫はきちんと理解している。
「ないと、盛り上がらないよね? その分、罰ゲームも用意するよ」
「勝てばいいんです」
薫がいればある程度は大丈夫か。運動神経がよくスポーツか得意ということは、ハンドボールの実力から考えてすぐ分かること。杏も普通以上は問題ない。
(ふふふふ)
ご褒美と罰ゲーム。
「どうしようかなー」
もっと楽しくなりそうだ。




