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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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曇りのち #4


 「ねぇ、護」

 「ん?」


 ちょんちょん。肩の方に小さな刺激がくる。心愛だ。海水で身体を濡らし、笑顔が輝いている。


 「もう終わっちゃった?」

 「あぁ」

 「手伝おうと思ってたんだけど……」

 「すまんな」

 「ちょっと遅かったわね……………………」


 二人ずつで問題なかった。逆に、葵と心愛が入れ替わっていたとしても。


 「終わったなら、遊べるよね。護」

 「そうだな」

 「……………………行こ? 護」


 これから何をしようか。やれることはたくさんある。基本的には俺だってのんびりしたいが、こういう場なので、そう意見はしまっておく。ここに来た意味を考える。



 (ちょっと待ちましょうか……)


 「護くん」


 心愛に連れていかれそうになる護の腕を掴む。取られないように。いけないことだ。護を手伝ってもいないのに。先に海で遊んでいたというのに。終わったところを見て、わざと心愛は来ている。


 (はぁ……)


 割り込みは許されない。でも、たまに葵だってしてしまうことがある。どっちもどっち。おあいこだ。


 「なんだ?」

 「置いていかないでくださいよ」


 忘れてもらっては困る。この後も、しばらくの間、護は自分のものだと思っていたのに。


 邪魔だ。でも、仕方の無いことだ。その中で、頑張っていくしかないのだ。想定内。想定外のことが起こらないようにする。そのためには、全てのことを考えないといけない。こうなればこうなる。そう考えておけば、想定外のことなんて起こらなくなる。


 「そうだな。葵も一緒に、」

 「当然です」


 こちらか護の手を握る。相手を待たない。葵が引っ張ろう。心愛には任せない。


 「お嬢様もいってらっしゃい」

 「分かった」


 (咲夜さん……)


 ちょっとだけ悲しそうだ。寂しそうだ。



 (さてと)


 「何をしましょうかね……」


 さっきまで、護、葵、佳奈、咲夜の四人で賑やかに準備をしていたというのに、一瞬にして静かになってしまった。咲夜の周りが、静か。ひとりぼっちだ。


 こういう立ち回りになるのは分かっていたことだから、もちろん、時間を潰すものは準備してきている。皆が遊んでいるのを眺めているだけでも良かった気がするが。


 (まぁ)


 観察をしておくのが一番だ。何が起こるか分からない。目を離すことはよくない。それなら一緒に遊べば、となる。


 でも、咲夜は見ているだけ。自分はメインではない。あくまで、傍観者だ。交ざるのは良くない。自らそこに交ざることは許されないのだ。


 

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