さざなみ #3
「よっと………………。護? 」
すぐに起き上がったかと思うと、にやにやとしながら名前を呼んでくる。
「はい……? 」
「今、どこ見てたのかな? んー? 」
「………………」
ほんのチラッと視界に映っててしまっただけだったのに、この有様である。うん。オソロシイ。
「いや、肌が綺麗だな…………………って…………」
嘘はつかず、本当のことを。
「あ、そう? 」
「えぇ…………」
悠樹や雪ちゃんは本当に白いし、それこそ成美とは違うわけだけれど、すぐに日焼けを起こしてしまいそうな、そんな肌である。
「成美も、それなりに白いほうですよね? 肌とか」
「そうだねぇ…………」
自身の腕を見ながら頷いている成美。
「渚より外に出てるはずなんだけど、渚よりも焼けてないんだよねぇ…………」
「そうですか……? 」
あまり気づかなかった。というか、双子だから、姉妹だから気づく小さな違いなのだろう。
「うん。そうだよ? ま、そんなに変わりはしないけれど」
少し笑いながら言う成美。
「今はそんなことなかったりするんだけど、中学校一年の時とかは私の方が大人しいって思われてたりもしたね。うん」
「へぇ………………」
そういうイメージは本当にできない。青春部の中でも成美は活発なほうだ。
「もう少し焼けても、って思うんだけど、護はどう思う? 」
「え………………? 」
「私のイメージ的に、もう少し焼けてる方が合うと思ったりするんだけど」
「そうですねぇ…………」
イメージ的には、成美の言う通りかもしれない。だが、この数ヶ月、青春部に入って皆と関わりを持ってきて、距離の保ち方だとか、どう接すればいいかだとか、普通に分かるようになってきた。
前にも言ったような気がするが、やっぱり慣れ、なのだ。
こういうのに慣れてしまった。こうじゃないと落ち着かなくなった。青春部にずっといたいと思える。そんな風に成長した。うん。
「そのままがいいです」
この成美に慣れた。変わってしまった後のにもいつかは慣れるわけだけど、それにはまた時間がかかり、それまでと同じくらいかかるかもしれない。
「そっか」
髪型が少し変わっただけでも印象はガラッと変わるのだ。まぁ、夏になればみんなある程度焼けるわけ。薫なんて、本当に小麦色の麦わら帽子がめっちゃ似合うなんて時がある。だけど、今回の成美は、そういうのではない。ずっとそれを続けていく、とことになる。
「成美は……………………そのままでいいと思います。何か変えようとする必要はないかと」
「ん……………………? そうなのかなぁ…………? 」
首をかしげる。少しキョトンとしている。




