確約
護は、どこか他の男の子とは違うイメージがある。接するときも、違う印象を受ける。何から何までもが違うのだ。
そんなに会う機会が多いわけではない。一緒にいる時間が長いわけでもない。逆に、クラスメイトの男の子達の方がほぼ毎日会ってるし、授業があるから同じ時間を過ごしている。
それなのに、それなのに、だ。クラスの男の子には嫌悪感を抱いてしまうが、護には抱かない。護に対する気持ちは、むしろ、それの逆だ。
……好き……?
いや、そんなわけがない。
リアルに首を振ると悠樹と時雨が変な目で見るから、気持ちだけ、ブンブンと左右に首を振る。
……いやいやいやいや……。
護を好きになる?それはありえない。好きになんてなれない。悠樹がいるから。悠樹の気持ちを知っているから。悠樹と護の想いは通じ合っているから。
……それに……。
悠樹を見ていたら、悠樹の恋を見ていたら、自分はそこまで純粋になれない。素直になれない。そう思ってしまう。
だって、恋をするだけで素直になれるのなら、そんなこと関係なしに元から素直だった、ということになる。
……あぁ、もう……。
こういう考え方が素直にじゃないのだろう。こんな考えだからダメなのだろう。
……そろそろ……。
抱き合うのもこのへんで。
「護さんとは………次いつ会うの? 」
悠樹に抱きつくのをやめて、悠樹の正面に座る。それを見た時雨は、悠樹の右側に。
「決めてない」
「そっか……」
悠樹のことだから、わざと、決めなかったのだろう。
護にはたくさん用事があるだろう。だって、夏休みだから。でも、問題ない。全く。
だって、もう、護は悠樹のものなのだ。他の人の遠慮だってあるかもしれない。もう二人の想いは通じ合っているのだから、わざわざ事前に決める必要性もない。
負けず嫌いである悠樹。悠樹が勝った。そうなったのだから、その次に見えるものは決まっているのだ。




