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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜第一章〜悠樹√〜
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葛藤


……もうほんとうに……。

「お姉ちゃん……? 」

久しぶりに。久しぶりに、氷雨は、悠樹のことをお姉ちゃんと呼んだ。なんとなく、そう呼びたい気分になったから。

「珍しい。そう呼ぶなんて」

「がんばってよ」

「ん」

ゆぅ姉の、お姉ちゃんの気持ちを、氷雨はずっと見てきた。それは、時雨も一緒。それなりに、応援できることは応援してきた。今日だってそうだ。

気持ちを知っている。悠樹の気持ちを。近くで感じてきていた。それが、やっと叶った。やっと、こちら側の懸念がひとつ減ったということになる。

……好き……。

好き、という気持ち。人を好きになるという気持ち。異性を好きになるという気持ち。

氷雨は分からない。そういうことが。好きになったことがないから。好きになれる男の子に出会わなかった。

……好きになるか……。

そういうのとは無縁だった。というか、こちらから避けていた。仕方のないこと。多分、仕方のないこと。だって、付き合いが長くなって親しくなりすぎてしまったら、相手はこちら側に踏み込んでくる。

……それが嫌……。

嫌。嫌ということよりも、相手のために、それを避ける。知られると、変な遠慮をされる可能性があるから。それは不愉快。だから、避ける。自分のためにも。相手のためにも。

友達はいる。でも、それだけ。それ以上でもそれ以下でもない。親友というわけでもない。本当に、友達。学校内での生活を不自由なく過ごすための友達。一人は辛いから。ただ、それだけのこと。

そういう考えをしてるのか、多分、氷雨だけ。時雨は友達と楽しそうに話してるし、どこかに出かけることもある。悠樹だって、青春部というものがあるから、家を出ることが多い。

でも、氷雨は違う。

一人が嫌だ。でも、群れるのも嫌い。必要だと感じるから、必要以上には友達という関係を拒みはしない。

……ダメなのかなぁ……。

悠樹のことを羨ましい、そう思いながらも、人と群れることを嫌う。

……護さん……。

クラスメイトの男の子より、護の方が話せる。話そうと思う。一緒にいも何も違和感を感じない。

……むしろ……。

護と一緒にいたい、そんなことを思ってしまう時もある。

悠樹が楽しそうに護の話をしてくれるから。護になら、こちら側から避けようという気が起こらない。

何故なのだろうか。



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