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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜一章〜
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お泊り会 #4


 佳奈先輩の説教をどれくらいの間聞かされていただろうか。カーテンの隙間から光が漏れてくるようになっていた。


 すなわち朝。


 俺達は、終始ゲンナリとしながら聞いていた。


 それまでも佳奈先輩はかなり大きい声を出していて、誰か起きてこないかとひやひやしていたものだが、誰も起きてくることはなかった。


 「……」


 ふと顔を上げて見ると、佳奈先輩の背後に高坂先輩が立っていた。


 「護。どうした」


 佳奈先輩は一度説教を止め、聞いてくる。


 「先輩の後ろに高坂先輩が……」

 「悠樹が?」


 先輩は振り返り、確かめる。


 先輩は、そこでようやく自分の声が大きかったことに気付いたようで。


 「悪い。起こしてしまったか」

 「………………」


 高坂先輩は無言で頷く。


 「怒るなら後の方がいい。もう皆起きる時間」

 「本当だな」


 佳奈先輩は時計を見上げる。


 俺もそれにつられて時計を見ると、もうすぐ七時になろうとしていたところだった。


 俺が一度起きたのは三時頃で、杏先輩との事件?で一時間くらい経っていたとしても、軽く三時間くらい、俺達は説教を受けていたことになる。


 正直言って、眠たさでほとんどの事を覚えていない。杏先輩も同じことだろう。


 「じゃ、これで終わるけど護も杏も今後はこんなことがないように!」

 「すいませんでした」


 二人で謝るのだった。


 後でこの状況を見ていた葵の母に、上司に怒られている部下みたいだったわよ、と言われた。


 葵には言わないでほしいものだ。



 そうこうしたうちに外から差し込んでくる光の量はだんだんと多くなり、次々と皆起き出してきた。


 起きてくるなり薫は俺の顔を見て。


 「護。どうしたの? 昨日あまり寝れなかった?」

 「まぁ、いろいろあってさ…………」


 口が裂けても薫には言えない。


 「いろいろ?」

 「薫。そこは聞いちゃだめだよ。男の子にはいろいろあるんだから」


 杏先輩は上機嫌でそんなことを言う。


 さっき散々佳奈先輩に怒られたのをすっかり忘れているらしい。


 「杏!」


 佳奈先輩の鋭い声が響く。


 「す、すいません………………」


 杏先輩はするすると薫から離れた。


 佳奈先輩の大声に、隣にいた渚先輩が驚いてわたわたしているのが少し面白かったりした。


 「そんなとこよりだ。杏。今日はどうするつもりなんだ?」

 「うーん。出来ればここにいたいけどね……」

 「すいません…………。今日は無理ですね……」


 葵が残念そうな顔をしながら言う。


 「どこか出掛けるの?」

 「えぇ」

 「それならもう解散して、後は各自で良いかな」

 「俺は構いませんよ」

 「皆、用事だってあるだろうしな。そこまで強制はしなくてもいいだろう。 心愛と薫からは用事があると聞いているし」

 「それじゃ、第一回勉強会兼お泊り会を終了する!」


 杏先輩のその声を聞き、俺と佳奈先輩はまたしても苦笑いをするのだった。


 楽しかったから良かったのかもしれないが、勉強会よりお泊り会の方が割合が高かったと思ったからだ。



 同じ駅から歩いて葵の家まで行ったのだから、必然的に帰り道も皆で駅まであるくということになる。


 「渚先輩」


 俺は渚先輩に話しかけた。


 列の一番後ろにいるから前にいる杏先輩辺りには聞こえないとは思ったが、まだ成美と呼び捨てにする有機が湧かなかったから、俺は渚先輩を呼んだ。


 まぁ、そんなところで躊躇なんてするものではないのかもしれないが。


 「なんですか?」

 「二人も用事とかあるんですか?」

 「決まった用事はないけど……。お姉ちゃん。どっか寄って行きたい場所とかある?」

 「うーん。無いかなぁ。家に帰ってのんびりとしたい気分。ってそういう護はどうなの?」

 「俺ですか? 多分ですが友達と勉強することになると思います」


 これは実際の話だった。


 さっきふと携帯を見てみるとメールが五件ほど来ていて全部羚から。


 多分、勉強を教えて欲しいのと、勉強会はどうだったのかと聞きたいのだろう。


 「なるほどね」


 駅が見えてくる。


 ここで一旦別れである。


 「んじゃ、また火曜日に」

 「お疲れ様でした」


 そう言い、俺達はホームへと別れた。


 薫と心愛はそのまま用事に向かうらしく、違うホームへと行った。


 これで帰りは一人かと思っていたものの、実際そうではなかった。

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