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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜第一章〜悠樹√〜
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想いの所在 #3

「お願い。あそこのお客さんだから」

作り終えたオムライスを、心愛はウェイトレスに渡す。出来てすぐ、そんなに待たせてはいない。

「了解」

さっきまで使っていたフライパンを洗い場へ。

「洗っておこう」

基本はまとめてやるものではあるが、先にやっておくことは悪いことではない。忙しくはあるが、忙しいからといって洗い場に溜めておくと後で悲惨なことになるので、やっぱり、はやめにやっておくことが望まれる。

「なるべくはやめにフロアの方に戻ってくれる? 心愛ちゃん」

「あ、はいっ」

水道の蛇口をひねりながら身体を店長の方に向けて、声を返す。

どの洗剤を使うか。そういうのも全て決められている。右から二つ目の赤洗剤。これを使う。

後三十分。三十分で五時になる。そこで上がりではないけれど、休める。

のんびりしてても三十分。テキパキ動いても三十分。そこは変わらない。なら、動く。働く。時間は有効に。

……有効に……。

思ったことを心の中で復唱する。

有効に。時間を。時間は有限だ。限られている。自分のしたいことの全てが出来るわけではない。

もちろん、護との時間だって、限られている。隣にいれるか、いれないか。それでも変わってくる。

いや、むしろ、それでかなり変わる。

……んー……。

護のことを考えてしまう。バイトをしていても、授業を受けていても。

護のことを考える。護は、心愛のことを考えてくれているのだろうか。想ってくれているのだろうか。

……届いて……。

自分の想いよ。

届いてほしい。そのための努力を、少しはしてきた。

七夕パーティーの時、ちょっとはがんばった。夏休みにいつの日か料理を教えてもらう、そういう約束がある。

「その時に…………」

その時に、もう一度伝えられるだろうか。伝えなくてもいい。けど、伝えたい。もっと、自分のことを分かってほしい。気持ちを理解してほしい。

……何してんのかな……。

護は家でのんびりしているのだろうか。それとも……。

……そっか……。

悠樹の誕生日。誕生日だ。護は悠樹と過ごしている。一緒にいる。

「羨ましいなぁ……」



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