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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜プロローグ〜
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ふたりきり #4

……護……。

護から聞いてきた。隠し事を教えてほしい、と。

それは、何を意味してるのか。護から行動に出ている。そのことを意味している。護が仕掛けてきたともいえる。さっきの逆。

「知りたい………………? 」

「……知り……たいです…………」

護の目線は、まっすぐ悠樹を捉える。その目は真剣だ。好奇心からは聞いていない。それに、そこが好奇心があるというのなら、こんな表情はしない。もっと前から聞いてきているはずなのだ。

「…………………………」

「教えては…………もらえないのですか……? 」

「そういうわけでは……ない…………」

教えたくないというわけではない。だって、この先にいかないと、これ以上の関係にはならない。こんな大事なこと、隠してはいられない。どうせ、いつかはバレるもの。彼氏彼女の関係になれば、絶対にバレるだろう。

なら、その時まで待てばいいのではないか。そういう考えもある。だけど、そうではない。バレるということは、必然的に、こちら側は隠していたということになる。

やっぱり、それじゃ駄目。伝えるのは、じぶんのくちからでないと。自分が、心を決めて伝えないといけない。

だけど、怖い。頑張ろうと、そう思っても、恐怖心が先行する。

「悠樹が誕生日を嫌う理由。それと、しぃと氷雨。三人だけで暮らしている理由。その二つは、関係しているんじゃないんですか? 」

「間違ってない………………」

正しい。護の言ってることは合ってる。正解だ。関係があるからこそ、誕生日が嫌いで、三人暮らしをしているのだ。

さっきからも言っているが、親友の麻依にも伝えてないこと。

「ねぇ。護……………………? 」

……もうこれは……。

言うしかないのか。護がそれを望んでいる。護は優しい。優しさ故に、今、護はこうしているのだろう。さっきまで聞かないでいてくれたのも優しさ。今のも優しさ。二つの優しさ。

……もうこれは……。

再び、思う。護の優しさが変わっている。変わっているから、護の気持ちはこうであると判斷してもいいのだろうか。

分からない。やっぱり、分からない。

「護は私のこと………………好き…………? 」

すぐに答えは返ってこない。分かっていたこと。だから、再び。

「質問を質問で返す形になっちゃうのはゴメン……。答えられないなら……今はいい。だけど、私は護が好き。大好き。これだけは、絶対に変わらない」



B

隠しことがあると、悠樹は言った。この暮らしと誕生日が嫌いという二点も関係していると、悠樹は言った。

俺は知りたい。知っておきたい。

前までは知らなくてもいいと思っていた。悠樹が言ってくれるのを待っていようと思った。

だけど、だけど、やっぱり、それじゃだめなのだろう。

少し前、悠樹は言った。「護は、私といつまでこうしてたい? 」と。

その質問に答えることは出来なかった。あまりにも、動揺していたから。

その質問に他意があるとするなら、そこに隠されているのは一つしかない。

「もう一回。護は私のこと、好き……………………? 」

もうこれは、告白だ。何度目かの、悠樹からの告白。

俺は何故、悠樹とふたりきりだけで誕生日会をしようと思ったのだろう。皆でする。それだけで良かったはずなのだ。悠樹の誕生日嫌いを治してほしい。その思いもある。それは当たり前のこと。

だけど、俺はそのために一役を買って出た。

普通に考えれば、俺がしなくてもいいこと。俺がいちいちしようと思わなくてもいいことだ。

それなのに、それなのにも関わらず、俺は今、こうしている。悠樹の家にいる。言葉だけではない。プレゼントも買った。悠樹のことを考えて買った。喜んでもらえたから、凄く嬉しい。喜んでもらうために買ったのだから。

誕生日にプレゼント。部活の先輩へのプレゼント。それはおかしなことではない。普通のことだと言える。

でも、俺は、プレゼントの奥に、悠樹の誕生日嫌いを治す。そういうことを考えていた。考えていたから、普通ではないのだ。普通の後輩だったら、ここまでのことはしない。

それなのに、俺はしている。

何度でも言おう。俺は、悠さんのために頑張ろうとしている。それは、間違いない。

「悠樹………………」

「護は…………どうして私のためにここまでしてくれるの? 誕生日が嫌い。おかしなことだと思う。普通は放っておくはず」

俺は放っておかなかった。

「どうして私のために頑張ってくれるの? 護は優しい。それは知ってる。もちろん知ってる」

優しい。それは何度も言われた言葉。悠樹からだけではない。皆に言われる。優しすぎるとも言われる。その行動は、下心からではない。父さんの言葉もあるし、身体が無意識に動いてしまうのだ。

「けど、もうこれは優しさ以上。護の中にはもっと別の気持ちがある」

別の気持ち。そう言われれば、もうあれしかない。その言葉しか残っていない。

「私は護のことが好き。護は私のこと好き? 」

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