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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜エピローグ〜
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リヤン・ド・ファミユ #5

「……………………寝てた……」

沙耶は、むっくりと身体を起こす。護が帰ってくるまで起きていよう、なんてことを思っていたが、やっぱりそれは無理だったようで、知らぬうちに寝てしまってたらしい。

「あ、護の部屋で寝てた。………………てへっ」

自分しかいない、護の部屋で、沙耶は一人でボケてみる。当然のことながら、それに対するツッコミはない。

「まだ護は帰ってきてないのね」

護が帰ってきていたら起こされている。だから、護はまだだと言える。

バフっと、もう一回布団の中にに潜る。

「暑い」

当たり前だ。夏なのだから。寝てた時も掛け布団を被っていたはずなのだが、それほど汗をかいてはいない。でも、今は、暑い。暑い、ということを意識してしまったからか。

掛け布団をすぐさま取り払う。少しだけ、マシになった。

「まだかなぁ………………。護」

もうすでに、十二時を回っている。だけど、護は帰ってきていない。あと少しで帰ってくるだろうが、それまでの時間が待ち遠しい。

「帰ってくるまでは」

護の部屋にいよう。護のベットで寝たふりをしておこう。護が何かを言ってきたら、寝ぼけてて間違えたと言い返そう。苦し紛れの嘘だけど、普通にバレてしまう嘘だけど、護は許してくれるだろう。優しいから。仕方ないなぁ、と言って許してくれるだろう。

「頭を撫でてくれたりしたら、最高なんだけど」

頼んだらしてくれるかもしれない。でも、素ならしてくれない。

こちらから頭を撫でたことは数えきれないくらいあるけれど、護に頭を撫でてもらったりした思い出はあまりない。

一緒に寝たり、一緒にお風呂に入ったり。抱きついたり、キスしたり。普通の姉弟間ではしないことをしてきた。

沙耶自身、自分のしてることがおかしいということを自覚している。だけど、とめる術がない。だって、護が嫌がらないから。こんな姉でも受け止めてくれるから、沙耶はヒートアップしてしまう。

護が優しいから、沙耶はそういう行動に出るのだ。

「………………護」

沙耶の一番の親友である魅散は、沙耶のそういうことに対して認めてくれている。非難の目で見たりはしない。もし、そんなことを魅散がする人だったら、沙耶は魅散と友達になっていない。親友になっていない。

「でも…………やめた方がいいのかなぁ…………」

この家に戻ってくるまで、まもると仲が良い女の子は薫だけだった。薫だけだったから、沙耶は何も遠慮してこなかった。ずっと知っているのだから。

でも、今は違う。護の周りには女の子が増えている。薫以外の護の周りにいる女の子は、沙耶のことをあまり知らない。護に対して弟以外の感情で見ているということを知らない。

「それに、護も困るよねぇ。彼女ができたりしたら………………」

彼女なんて出来てほしくないけど、無理だろう。時間の問題だと思う。それがはやいのか遅いかのか、そのどちらに転ぶのかは分からないけれど、護には絶対に彼女が出来る。出来ないわけがないのだ。

「どうしよっかなぁ……………………」

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