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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜一章〜
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テスト勉強 #3

 「薫。大丈夫か?」

 「大丈夫そうに見える……?」


 薫は、お腹を抑えつつ答えた。


 「高坂先輩。やりすぎなんじゃないんですか?」

 「そんなことはない」

 「でも、薫はあんなに痛がってますよ」

 「私の家ではあれが普通」


 普通と言うからには妹か弟がいるのだろう。


 高坂先輩の攻撃は受けたくない。高坂先輩の前では寝ない方がいいだろう。いや、そもそも、寝ることなんてあるかどうかも分からないけど。


 「それでは、勉強を再開するからさっきと同じ場所について〜」


 織原先輩は自分の教科書をひらひらとしながら言う。


 定位置につき、皆を見渡してみる。成美先輩はすでに眠たそうにしている。成美先輩も高坂先輩の攻撃を受けていたのに、効いていなかったのだろうか。


 まぁ、効いていたとしても成美先輩であるなら、直ぐに痛みなんて引いてしまいそうな気がしないでもないが……。


 「おい。成美。起きろ。お前はどうしてあの攻撃を喰らっておいて無事なんだ……」


 麻枝先輩は不思議そうにシャープペンシルを成美先輩の手の甲につんつんと刺している。


 それにすら、成美先輩は反応しない。


 もう一度高坂先輩の攻撃を喰らうのは可哀想ではあるが、さすがに目が覚めるだろう。一回で起きなかったからどうかは分からないところだが。



 紆余曲折あり、成美先輩は無事に目を覚まし、麻枝先輩の隣でいそいそと勉強をしていた。


 五時になると葵の母が「晩ご飯も食べていってね」と言ったため皆のやる気は俄然上がり、六時まで誰も寝ることも無く終了した。


 それぞれ勉強道具を鞄へと片付けていると、部屋の扉が開き、葵の母が入ってきた。


 「またで悪いんだけど……、晩ご飯出来ているから運ぶの手伝ってもらっていいかしら」

 「わかりました!」


 今度は俺も手伝おうと思い、いち早く片付けを終わらせ向かった。


 しかし、それを静止するように服の袖が引っ張られた。


 引っ張ったのは葵だった。


 「護君はここで待っていてください」

 「いや、俺も手伝うよ。昼の時は手伝えなかったからさ」


 しかし葵は譲ろうとはせず。


 「良いんです。ここは私たちがやりますんで」


 俺の前へと回り込み、体を押して部屋へと戻そうとしている。


 「護君は休んでいてください」

 「うーん。そこまで言うなら……」


 俺は渋々と踵を返し、部屋へと戻った。



 晩ご飯を食べ終えたのはもう外が暗くなった八時ごろだった。


 「もう時間も遅いですから、今日は泊まっていってもらっても良いですよ」


 葵からそう提案がなされた。


 俺はさすがにそこまでしてくれなくても、と思ったもののそう思わなかった人がいた。


 もちろん、織原先輩である。


 織原先輩は葵がそう言うやいなや、葵へと詰め寄り。


 「本当にいいの!?」

 「え、えぇ……。良いですよ。時間も遅いですし」


 葵は、織原先輩の剣幕に少し押されていた。


 こうして、テスト勉強会はお泊り会へと変わったのだった。

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