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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜七章〜
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セッティング


「さてと………………」

咲夜は腕時計で時間を確認する。そろそろ、始まりの時間だ。皆が楽しみにしている七夕パーティーの始りだ。

料理もそろそろ完成。何を作ったのか。何を作っているのか。

それは。

「まだ秘密です」

誰に対して秘密にするんでしょうと思いながらも、咲夜はあえて声に出してみる。

一旦手を洗い、エプロンを脱ぐ。

……準備しないと……。

料理だけを作ればいいだけではない。会場のセッティングをしないといけない。

別に、わざわざ外でやる必要はない。この場所でも出来る。ご飯を食べる場と厨房が隣り合わせになっているから、色々便利だったりはする。それに、大人数でも一緒に食べることが出来る大きな机だってある。

それなのに、外でやる。暑いけど、外でやる。花がたくさん植えられているあの中庭で。

「あぁ……、そういえば机が必要ですねぇ………………」

自分で言って思い出した。中庭でやるのだから、料理を並べる机が必要。さすがに椅子とかは出せないから、そこは我慢してもらうことにする。

で、丁度いい机がここにある。しかし、一人で運ぶことは出来ない。佳奈と杏に手伝ってもらったとしても、運べないだろう。七夕パーティーに参加する皆に手伝ってもらって、ようやく運びだせるくらいだろう。

「仕方ないですね……………………」

お客様に手伝ってもらうのは忍びない。でも、仕方ないこと。

「先に伝えておきましょうか」


二人にその旨を伝えた咲夜は、先に中庭に足を運ぶ。

様々な花の香りが、咲夜を包む。これを楽しんで欲しいから。それも、この場所にした理由の一つだ。

トケイソウ、ムクゲ、アデッサ、ガザニア、サザンクロス、ネコノヒゲ、クチナシ、などなど。

何種類の花を植えたのか。自分ですら覚えていない。それほどの数の花々が、この中庭にあった。

「夏ですねぇ……。暑いです」

いつも通り執事のような服に身を包んでいる咲夜。長袖長ズボンである。暑いのは当たり前だ。そんな格好をしてるのだから。

この花達の移動をしないといけない。このままじゃ、あの大きな机を置くスペースがない。

鉢に植えた花。花壇に植えた花。もちろん花壇のほうは動かせないから、鉢に植えた小さいものを移動させることにする。

上に着ているスーツを脱いで、それを中庭の真ん中にある噴水の側に置く。そして、中に着ていたシャツの腕を捲る。土で汚れないように。

「どうしましょうか……」

どこにどんな花を置くのか。ちゃんとそれを考えて配置してある。それを変えないといけない。

端に寄せるような感じになってしまいそうではあるが、場所を作らないといけないからそうせざるを得ない。並びを考えながら、そうしないといけない。

「うふふ…………」

さりげなく、咲夜は笑みを浮かべた。

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