表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜七章〜
180/384

恋は戦争

葵は見ていた。聞いていた。

何を?

護が電話するのを。護が電話している声を。

……そうですか……。

盗み聞きみたいになってしまったが、そんなことをするつもりはこれっぽっちもなかった。廊下に出ようとしたら、階段の下で電話をしている護を見ただけなのだ。

さっきは羚に電話をかけていたようだったが、今は違うかった。羚に話している時の口調ではなかったし、護はララと言っていた。

……二人はこないんですか……。

あんなに頼んでいたのに、結局は来れなくなった。風邪だから仕方ないが、葵の行動が変わる。七夕パーティーの時の行動が変わる。

二人が来る予定で、葵は考えていた。それを必要とはしなくなった。

……二人には悪いですが……。

これは好機だ。自分にとって。だって、恋敵(ライバル)が二人減るのだから。護が気にかけることになる女の子が二人減るのだから。

この恋は戦争だ。勝ち残れるのは一人だけ。残りは敗北者となる。簡単な戦争。だけど、難しい戦争。結果が中々出ない戦争だ。

のんきなことは言ってられない。のんびりはしてられない。頑張らないといけない。そのための七夕パーティー。

「あわわ……」

護が動いた。こっちに向かってきている。慌てて、葵は咲と護の母がいるリビングにへとさっさと戻る。

「どうしたの? 葵ちゃん? 」

「いえ……。何でもないですよ」

「そう? あ、護」

自分の後に続くように、護が来る。

「連絡ついたんですか? 」

どうなったのかは知っている。そして、ここに来たということ連絡がついたということ。それを分かっていながら、葵は護に問うた。

「おぅ……」

少しだけ、護は残念そうだ。当たり前だ。ララとランが来ないのだから。そして、護から聞かなくても、葵は知っている。

「ララとランが来れなくなったみたいでな」

「そう……なんですか」

「風邪だから仕方ないけどな」

そう言いながら、また護は携帯を開いている。

「佳奈先輩に連絡するんですか? 」

「そうだな」

準備のこともあるだろうし、はやめに連絡しておこうということなのだろう。

何回もいっているが、行われる場所は佳奈の家。

先月の水着を買いに行った時、その時は杏がひっぱってくれた。今回は佳奈。

三年生が自分達をひっぱってくれている。自分のためもあるだろうが、護との機会を作ってくれている。

二人も必死なのだろうか。だって、三年生だ。どう頑張っても、佳奈と杏の二人は今年で卒業になる。二人が護と関わっていられる時間も残り短くなっていく。だからこそ、頑張らないといけないのだろう。

護と付き合ったとして、その後どれだけこの高校で一緒に、青春部の部員として過ごせるか。そこも重要。

護がそこを重視しているとするなら、二人のチャンスは極端に減ってしまうことになる。

……どうするんですか……? 先輩達は……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ