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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜七章〜
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母の思い

「うふふ………………」

護の母は微笑む。護が家に女の子を連れてくることに対して、だ。

何も、今回が初めてなわけではない。小学校の頃から、護は家によく女の子を連れて来た。その点は昔から変わっていない。

変わっている点といえば、護の気持ち、そして家にくる女の子の気持ち。何か、真剣になっているようなそんな気がする。

「誰がくるのかしら…………」

誰がくるのか。護からそれを教えてはもらっていない。でも、誰が来ても、同じものがある。それは、護に対しての想い。

「お父さん。護はやっぱりあなたに似てます」

お父さんもそうだった。女の子が周りに集まっていることが多かった。物理的に、クラスや学年の中に男子が少なかった、という理由もある。

今でもそれはあんまり変わっていないのだろうが、数は増えている。それでも、護は男の子の友達より女の子の友達を家に連れてくる。

そんな自分の息子の護の姿を、自分が一生付き添うと決めた夫と重ねる。似ているから。

そして、護の隣にいようとしている女の子達は、昔の自分だ。自分だって、お父さんに選んでもらえるように頑張った。ちゃんと結果に結びついた。

「護も大変ねぇ………………」

お父さんも言っていた。選ぶのは大変だった、と。でも、この人だって決めたらすぐに気持ちが固まった、と。

今の護は、そんな昔のお父さんと同じなのだ。同じ苦労をしている。同じように選ぼうとしている。

なら、母さんは。

「お手伝い、しましょうか……」

またしても、母さんは微笑む。もちろん、手伝うのは、護の方ではない。護のことを好きだという女の子の方だ。

昔の自分と同じなのだ。だから、アドバイスが出来る。アドバイスをした方がいいのだろう。

それが、自分の役目だ。

「お昼ご飯ね」

私が作らない方が良いのかしら、と母さんは思う。

それぞれの想いを護に伝えようとするのなら、母さんは作らない方が良い。それこそ、アドバイス、手伝うだけで良い。

「他の準備しましょうか。護にも手伝ってもらわないと」

一緒に机を囲んでお昼ご飯を食べようとするなら、今ある食卓だけではいけない。もう一つ、持ってこないといけない。

心配しなくても、予備はある。こういう時のために、ちゃんとあるのだ。リビングに置いてある大きいソファだって、そういう時のため。

護には来客用のため、と言ってある。もちろん、その来客ってのは、護の友達だ。それしかない。

「母さん。何か手伝うことある? 」

今から呼びにいこうと思っていたところ。護からこちらに来てくれた。

「机運びたいから、手伝ってもらえる? お母さん一人じゃ持てないから」

「了解」

護は嫌な顔一つせず、頷いてくれる。これでこそ、護だ。自慢の息子だ。

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