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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜一章〜
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席決め

 再び放課後。


 俺、薫、葵、心愛の四人で青春部への部室へと向かっていた。 これからこの日常が続くのかと思うと、自然と気分はあがってくる。男とはそういうものである。


 「それでね、さっきの話なんだけど……」


 三人はまた、俺を放ったらかして、話をし始めた。そういう三人を見ているだけでも気分は落ち着くし、なにより楽しい。


 部室の扉をノックする。


 「はーい」


 中から、織原部長の声が聞こえる。


 中に入ると、新しい机が四つあった。おそらく部長たちが用意したのだろう。


 「部長達が、俺たちの机を用意してくれたんですか……?」

 「そうだよ。昼休みに葵から入部届けをもらったらからね。さっきまで準備してたんだ」


 胸を張る部長を、麻枝先輩が止めた。


 「別に、お前が運んだわけではないだろう。運んだのは私と、成美、渚、悠樹だ」

 「いいじゃん。そんなことは気にしない。気にしない」

 「俺達に言ってくれれば自分達で運んだんですけど……」


 俺は、昼休みが暇だったことを思い出し、そう告げる。


 「新入部員だからね。そんなことはさせられないよ。それより席だね。場所どうする?」

 「どこでも良いですよ」

 「そう思ってない人が、約三人いるんだけど」


 部長は俺の横にいた薫達を指差して言った。


 「そうみたいですね……」


 俺は薫達、三人に目をやりながら。


 「それならじゃんけんとかで決めるべきですよね」

 「いやいや。ここは提案があるのだよ」


 部長は得意気に制服のポケットから、一枚の紙を取り出した。


 「あみだくじ、ですか?」

 「そうそう。こうやって選んだ方が良いと思ってね」

 「そうだとは思いますが……」


 なにか部長の策略を感じる。


「やりましょうか…………」


 俺は部長から、その紙を受け取り、八本の線の内一つを選び自分の名前を書いた。

 

 (ん? 八本?)


 「部長。これ、一本たりなくないですか?」

 「ん? それでいいんだよ。私の席はあそこだから」


 と言い、九つある内の一つの机を指す。


 「だって、部長といえば真ん中に座るものでしょ」


 部長さんは一人ずつ順番に紙を渡していく。




 結果。


 俺を基準にして、決まった席を教えよう。


 四つの机が二列に並び、その向こう側に部長の席。


 ドアから見て、左側の席を俺は引き当てた。そこの左から二つ目の席。俺の右側には高坂先輩。左側は成美先輩で、その次が麻枝先輩。俺の対面に渚先輩。高坂先輩の対面に心愛。成美先輩の対面に葵。麻枝先輩の対面に薫という席順になった。


 薫達三人は、自分達が引いてしまった席を恨めしそうに見ながら、席に座っていた。


 俺としても、薫の隣か前の席が良かったという思いがあったが、薫とは一番遠くなってしまった。


 成美先輩が耳打ちをしてきた。


 「なんか不服そうな顔をしてるけど」


 それに対し、俺も小声で返す。


 「そんなことは無いですよ。ただ……」

 「ただ?」

 「いや、やっぱり言わないでおきますよ」

 「つまんないな〜」

 「今は教えませんよ。いづれ教えますから」

 「今は? ってどういうことかな?  護君?」


 成美先輩は小悪魔的な笑みを浮かべながら聞いてくる。


 「いづれ、教えますから……」


 と言い、俺は半ば成美先輩との会話を打ち切ったのだった。

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