幼馴染
「十四人か………………」
気が付けば、七夕パーティーに参加する人数がたくさん増えていた。
「別に、一杯でも問題なんじゃない? 佳奈の家は広いんだからさ」
「そうだな」
杏の言う通り、広さについては問題は無い。問題なのは、どうやって護の隣に居続けるかだ。
十四人もいると、中々厳しいことであるのは分かっている。だからこそ、頑張らないといけない。
結構縮まってきている護との距離をもっと縮めたい。これは、佳奈だけではなく、皆が思っていることだろう。
「ねぇ、佳奈」
「どうした? 」
「私達さ…………、小学校からずっと一緒じゃん? 」
「そういえば、そうだな」
昔話か? と思いながら、佳奈は杏の話に耳を傾ける。
「凄いことだよね。クラスもずっと一緒だし」
「先生達の工面もあったと思うぞ? 」
「どうしてさ? 」
「今では大丈夫だが、小さい頃の杏は、いまより活発だっただろう? 」
「そうだね」
「そんなお前を止めてきたのは私だ。先生達も、私に任せていれば大丈夫だと思ってたんじゃないのか? 」
「そんなに、だった? 」
「あぁ、今の、真希と早希みたいだ」
「二人はバレーやってるから、余計になんじゃない? 」
杏のたくさんいる妹の内の二人。早希と真希。御崎小学校に通う双子の妹だ。
「まぁ、そうかもしれないな」
「私が言いたいのは、そんな昔話とか早希真希の話ではなくて」
「じゃぁ、何だ? 」
「佳奈さ、変わったよね」
……唐突に何だ……?
佳奈は、杏がどういう意図を持って言ってきたのかが分からなかった。
「変わった? そら、昔に比べたら変わってるだろ? 」
「そうじゃないよ。私が言いたいのは、護と会ってから変わったってこと」
「……………………っ」
ちょっとくらいなら、自分でもそう思う節があった。だって、毎日のように護のことを考えてしまっているから。それも、色んなことが身に入らなくなってしまうくらいに。
「どう、かな? あってるでしょ? 」
「まぁ、間違ってはいないが」
「やっぱり? 私もそうなんだ」
「え? 」
「私も、自分で変わったと思ってるんだ。護に会ってさ。こんなに人を好きになるとは思ってなかったし」
「それは、私も一緒だ」
「私は負けないよ? 昔から佳奈には前を歩かれてきたけど」
……お前の方こそ、私の前を歩いていたりするんだぞ……。
「当たり前だ。負けない。負けたくはないからな」