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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜六章〜
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時雨と氷雨の七夕事情


「しぃ」

悠樹がいない高坂家。自分達の部屋ではなく悠樹の部屋で、時雨と氷雨は勉強していた。

「どうしたの? ひぃ姉」

勿論、時雨と氷雨は双子である。しかし、氷雨の方が先に産まれているから、時雨は、ひぃ姉、と呼ぶ。

「晩ご飯どうする? 」

……そっか……。

「今日、ゆぅ姉帰ってこないんだっけ? 」

「うん。だから、私達で晩ご飯作らないと。それに買い物も」

「もう行く…………? 」

部屋に飾られている時計を見ると、時計の針は四時を指していた。買い物に行かないといけないのなら、時間的にもそろそろ行動を始めないといけない。

「その方が良いかも」

やっていた勉強をストップして、買い物をする準備を始める。

……何作ろうかな……。


部屋を涼しくしてくれていたクーラーの電源を落とし、氷雨は、時雨に続くように悠樹の部屋を出た。

……護さんと勉強してるのかな……。

朝、家を出る時、悠樹はどこに出かけるのは教えてくれなかった。教えてくれたのは、今日は帰ってこれないということと、勉強してくる。この二点だけだった。

……やっぱり違うか……。

護さんとは勉強していない、と氷雨は考える。

氷雨は、悠樹が護のことを好きだということを知っている。護のことを話す時、悠樹の顔がいつもより楽しそうに、嬉しそうにしているということを知っている。

だから違うと考える。本当に護と勉強するために家を出たのなら、もっと楽しそうな顔をしていたはずだ。

……まぁ、でも……。

明日は七夕だ。なら、悠樹は確実に護と過ごそうとするだろう。

「ひぃ姉? 何ボーッとしてるの? 」

「あ、ごめんごめん…………」

エコバッグと左手に、リビングに置いてあったと思われる母の財布を持った時雨が、目の前に立って聞いてくる。

「早く行こ? 」

「うん」

七夕に護と会う。なら、その場には、悠樹の他に青春部の皆もいることになるのだろう。

……ゆぅ姉の出番はあるのかな……。

氷雨は、護のことを好きな女の子が多いことを知っている。だから、そう思ってしまう。

七夕はとても特別な日だ。なら、他の女の子も行動を起こしてくるはずだ。護の隣にいるためにはどうするべきか。悠樹も含め、そう考えているはずなのだ。

なら、そこは壮絶な修羅場になる可能性がある。

だからこそ、そうなってしまった時、悠樹に出番はあるのか、心配になってしまうのだ。

でも。

……頑張って、ゆぅ姉……。

氷雨には、その恋が叶うように応援すること以外、することはないのだ。

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