日常
「ん、ふぁ〜」
「どうしたの護? なんだか眠そうだけど」
「まぁ、眠いといったら眠いかな……」
昨日、いろいろあったからすぐに寝れると思ったが、全然寝付くことが出来なかった。それは薫も同じようで、眠たそうに目をこすっている。
「薫も? 昨日二人で何かしていたのかな〜?」
心愛がニヤニヤしながら聞いてくる。
「いや、そういう訳ではないんだけど、やったと言えば二人でハンドボールの練習をしたくらい……」
「なんで? わざわざ部活の後にやる必要が?」
まぁ、当然の疑問だろう。
「それはあたしが答えるよ。昨日、部活辞めて来て、それで最後にって意味でね」
「え……? 辞めたの? 護から薫は強いって聞いたんだけど」
「だって、あたしだって、護と一緒に居たいから」
薫はほほを赤らめながらそう答える。嬉しい事を言ってくれるじゃないか。
「心愛だって、同じでしょ?」
「まぁ、そのために青春部に誘ったんだしね」
校舎に入って、下駄箱に行ったさき葵と鉢合わせた。
「あ、護君。おはようございます。それと薫と心愛も」
「おぅ。おはよう」
「それと、ってあたし達はおまけなの?」
心愛、薫、葵の三人は何やら話をし始めたようで、早々と俺を置いて教室へと向かってしまった。
「よっ! 護」
「お、羚か。お前、最近遅刻しないようになったな」
羚はうんうんと頷きながら。
「まぁ、御上さんに言われたからな。あまり遅刻はしない方が良いよって」
俺はそんなこともあったなぁと記憶を探ってみる。
「で、青春部の件どうなったんだ?」
「どう? とは」
「入ることにしたのかってことだよ」
「あぁ。その事か。それなら入ることになるんじゃないかな。薫もそう決めたみたいだし、なにせ、三人が入りたいと言うなら俺はそれに従うまで」
「そうか。そうだったらいろいろ話とか聞かせてくれよ」
羚の顔がニヤニヤしている。この顔は良くない事を考えている時の顔だ。まだ、知り合って短いが、なんかここ最近わかってきたような気がする。
羚と一緒に教室に入り、机の上に鞄を置くやいなや、葵が話してきた。
「護君。薫から聞きましたよ。青春部にはいるって話」
「じゃ、今日の放課後にでも行く?」
「はい。入部届けとかは、私がやっておきますので」
「それなら、頼もうかな」
「はいっ」
葵との話を終えると羚がすかさず俺の所にやってきた。
「なぁ、護」
「な、なんだよ……」
(何笑っている)
「これで青春部への入部が確実になったわけだ」
「そうだな」
「さっきも言ったけど、話聞かせてくれよ。ほかの面子だって楽しみにしてんだ」
「話ってなにを話せば良いんだよ……」
(わからん)
「なんでもいいんだよ。何をしたとか、先輩達はどうだったとか、そんなことでいいんだよ」
「それを聞いてどうすんだよ……」
「どうするって、聞いて楽しむだけだ」
こちらの話に目を向けていた男子どもに目をやる。皆、何故か頷いたりしている。
はぁ、なんでそう言った話でそんなに楽しめるのだろうか。俺には分からん。てか、そんな気持ちは分かりたくない。
そんなことを考えながら、俺は、先生が早くきてくれることを願うのであった。