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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜六章〜
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遥の七夕事情


佳奈と杏が七夕パーティーの準備を着々と進めていたころ、生徒会副会長で図書委員長でもある黛 遥は、学校にいた。テスト前だから、学校で勉強しようというわけだ。

本来、休日には開館していない図書室だが、遥が開けて欲しいと言えば開く。静かな場所で勉強がしたかったのだ。

「にゃ………………!? 」

遥は突然の出来事に驚きの声をあげた。スカートのポケットに入れていた携帯が、急に震え出したからだ。

勉強を一時中断し、ポケットから携帯を取り出して、急ぎ足で図書室から出た。図書室での携帯の使用は禁止されている。図書委員長である遥が、それを破るわけにもいけない。

携帯を開く。

……ん……?

知らない番号からの電話だった。でも、出ないわけにはいかない。電話をして来た側は、自分に用があってかけてきてるのだから。

「もしもし………………? 」

「あ、遥? 私、私。杏だけど」

「杏さん……? あたしの番号をどこで…………? 」

電話番号を教えてはいない。

「佳奈から教えてもらってね。勉強してた? 」

「あ、はい」

「なら、邪魔しちゃったかな? 」

「いえいえ。そんなことはないです。休憩したいと思ってましたから……」

これは本音である。昼頃にここに来てずっと勉強していたから、疲れが少し溜まっていたのだ。

「あるがと。で、話があるんだけど…………」

「話ですか………………? 」

「そそ。明日って、七夕じゃん? 」

「あぁ。そうでしたね……」

すっかり忘れていた。テストのことばかりに気を取られていたからであろうか。

「その感じじゃ……、忘れてた? 」

「あはは、忘れてました……。その七夕が、どうしたんですか? 」

「青春部の皆で七夕パーティーをしようと思ってね。遥もどうかなぁ、って」

「パーティーですか…………」

杏は、「青春部の皆で」と言った。なら、そこには、確実に護がいることになる。

しばらくの間、護と話す機会が無かった。あの時感じることが出来た優しさを、もう一回感じたい。遥はそう思っていた。

「護もいるし、来るでしょ? 」

見透かされている。

……杏さんは知ってるし……。

「行きたいですけど、どこでやるんですか? 結構、多い人数になりますよね…………? 」

多い人数になるなら、護の隣に自分が入る隙がない。そうなるなら、あまり意味が無いのかもしれない。

「だね。遥を入れると、十二人」

「そんなにですか…………」

でも、護の隣にいられないとしても、護の存在を感じられるのなら、そこに行く意味はあるのかもしれない。

「だから、集合は佳奈の家になるね」

「なるほど…………」

遥自身、佳奈の家に行ったことはない。でも、途轍もなく広いということは知っている。だからこその、納得だ。

「どう? 来る? 」

「はい。お邪魔でなければ」

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